2時間だけのバカンス #2 (ページ34)

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歴戦の友ページ34

「いるよね、ああいう人」

俺苦手、と言いながら肩をすくめる松村さんにお礼する。

『何度もすいません。助かりました。』

頭を軽く下げると、いいっていいって、と手をひらひらさせる。

「まぁ、いろいろあるけどさ、もうすぐこの企画も俺らの手を離れて世に出るわけだし。あとちょっとの辛抱だって。」

そう、顔を見ただけで虫唾が走るあの男と顔を合わせるのもあと少し。

「あ、今度の金曜。ミーティング入ったよ」

今思い出した、と松村さんが頭を掻きながら言う。

『え！？何時からですか？』

急いでスケジュール帳とペンを出す。

「１４時から。あれ？ペン変えたの？お気に入りって言ってたよね。」

『そうなんです！どこかで無くしちゃて』

「入社の時から使ってるやつだよね、誰かからの貰い物？」

『いや、入社の時に気合入れるぞって奮発して買ったんです。仕事で上手くいったときも、スランプの時も一緒に頑張ってきたペンだから、早く見つけてあげないと。』

「早く見つかると良いね」

松村さんはそう言うと、そろそろ戻らないとやばいね、と言って歩き出した。