2時間だけのバカンス #2 (ページ4)

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芳名帳ページ4

side:大我

｢大我さんは大我さんですよ｣

はっきりした声で、耳に残ってる。

押し倒した時に触れた腕は細くて、繊細だった。

俺、確実に彼女に惹かれてるな。

｢きょも下の名前も聞いてないの！？｣

先日樹に言われたのを思い出す。

確かにそれは俺も思っていた。

Aさん。下の名前はなんだろう。

出発の日程まではまだ時間もあるし、参加者名簿に書いてるだろう。

パーティーに参加した企業が記載されている名簿を片っ端から見ていく。

でも、どこにもAという苗字はなかった。

名簿漏れ？、

そういえば受付に芳名帳が置いてあった。

会社の倉庫から探す。

当日の芳名帳から文字の羅列を辿る。

あった！！！！

AA

達筆で繊細な字で書かれていた。

Aちゃんっていうんだ。

頭の中に、焦げ茶の髪をなびかせてシャンパンピンクのパーティードレスを翻す彼女を思い出す。

いつかまた、会えるだろうか。