2時間だけのバカンス #2 (ページ30)

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渦巻く思考ページ30

だめだ。

てんやわんやの攻防(主に私だけ)を終わらし、デスクに頭を乗せうなだれる。

知ってて担当者に名乗り出たアイツ(元カレ)も腹立つが、何より許せないのは

自分だ

これくらいのことでこれまでの仕事をパーにしかねない私の態度もそうだし、冷静さを欠いてしまった自分が情けない。

悔しくてたまらない。

これからコラボ企画が完遂するまでは幾度となく顔を合わせなければならない。

うなだれる私に、松村さんが缶コーヒーを差し出してくれる。

「慎太郎から聞いたよ。ごめんね、気が回らなくて。」

『いや、むしろそこまで気が回ってたら怖いくらいです。誰も元カレだなんて思いませんもん。』

松村さんも頭を掻きながら横のデスクに腰掛ける。

「しかも苦労したらしいね。でもまぁ、仕事に持ち込むことはしないだろうし、それ以外の時は、俺がなるべく気を回すようにするから。Aさんは安心して今回の企画に向き合ってて。」

『すいません。ご迷惑をおかけします。』

大我さんの家への帰路の最中、電車の車窓を眺めながら考える。

担当が私と知っていながら来たのは、何か腹積もりがあるのか、はたまた何も考えていないのか。

どちらにせよ、円満に別れたわけではないので気にかかる。

渦巻く疑問は晴れないまま、私は大我さんの部屋の扉を開けた。