2時間だけのバカンス #2 (ページ28)

今日:9 hit、昨日:7 hit、合計:143,171 hit

デジャビュページ28

side:大我

「最近どうなの？例の彼女とは。あ、俺大根とはんぺんでお願いします。」

「順調だよ。じゃあ俺タコと厚揚げで。」

ある夜、寒空の下おでんの屋台で俺と樹は酒を酌み交わしていた。

味見と称しながら俺の厚揚げを食べる樹を横目に、生ビールを飲む。

「なんで他人のおでん食べてんの？そういえば、最近変なんだよね。」

「いいじゃんいいじゃん。なに？Aちゃん？」

「っていうか、端的に言うと付きまとわれてるかも。Aちゃん。あ、親父さん、やっぱ俺も大根お願いします。」

へいへい、とタオルをねじって頭に巻いている屋台の親父さんが俺の皿に大根を乗せる。

「ん？デジャビュ？あの子前もそんなことあったよね。このタコうま！」

「うん。あれ？なんで樹が知ってんの？だから他人のおでん食べるなって」

「あの子の元カレ説得したの、俺だし」

「まじで！？」

それから事のあらましを教えてもらい、ある一つの疑問が浮かび上がった。

「その元カレって、今はどうしてんの？」

「それウマそうっすね」と牛すじを頼んでいる樹にその疑問を投げかける。

「他にいい女見つけるって息巻いてたし大丈夫だろ。ほら、この間のパーティーでAちゃんに聞いた時ももう大丈夫だって言ってたし」

「それならいいけど、」

兄ちゃん、人生でこの人だって思えるほどのいい女は、そうそう出会えるもんでねぇよ
いくら他の女にそれたとしても手に入れたくなるもんでさぁ

屋台の親父さんが決め顔でこちらに話しかけた。

かっこつけてんじゃねぇよおじさん！と樹が屋台の親父さんとじゃれ合っているのを聞きながら、

前にAちゃんの部屋の窓から見た人影を思い出していた。