2時間だけのバカンス #2 (ページ17)

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自然消滅ページ17

side:大我

やってしまった。

眉をひそめて涙を流しながら、ドアを開けて出ていくAちゃんの姿が、何度も頭に流れる。

そんな後悔ゆえの気まずさに、かれこれ1週間、Aちゃんに連絡してない。

樹の家で飲みながら聞く。

『ねぇ樹。俺、彼女を嫉妬に任せて襲っちゃった』

｢何そのシチュエーション。興奮するじゃん。｣

樹に相談するのは意味ないかも。

それに、樹の前で耳を抑えて赤くなっていたAちゃんを思い出すと、ちょっと樹にイラッと来る。

『誰これかれこれ女は声掛けたら落ちるなんて思ってないよね。』

｢何？この前のパーティーの子のこと？あの子、きょもの彼女でしょ。｣

『は！？！？』

なんでわかんの！？

｢あの時俺の肩つかんだお前の顔みたらすぐわかったよ。｣

『彼女絶対怒ってるよね。どうしたら許してくれるんだろう』

｢俺のテクにのぼせちゃった？って聞けばいいんだよ。｣

樹はふざけてまともな回答はしてくれない。

『それって逆に煽ってるよね。それこそ別れられちゃうよ。』

お酒を飲みながら考える。

そういえば、日本についてからずっと実家暮らしだったけど、一昨日やっといい部屋を見つけて引っ越すことになった。

これを機にそれとなく連絡してみようかな。

こんなんで、自然消滅とかたまったもんじゃない。

別れ際に、樹が笑いながら言った。

｢次会う時にとびっきり優しくしなよ。あと、自分の気持ちをしっかり伝えること。｣

やっぱ樹はちょっとだけ頼りになる。