2時間だけのバカンス #2 (ページ2)

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現実離れページ2

side:大我

誰だろう。向こうも俺のことを知らないみたいで、不思議そうに俺を見ていた。

そんなに見られるのは恥ずかしいから、横に来るように促す。

誰？と聞くと、Aさんと言うらしい。

その人は、上品な立ち振る舞いで、焦げ茶の髪が綺麗に巻かれている。

だけど、少し疲れてそう。

俺と、同じ目をしてるのに気が付いた。

どうせなら、一緒に抜け出してみようか。

ちょっと無理矢理に、外に出た。

助手席に座る彼女は聞き上手で、意外と話が盛り上がる。

パーティーから抜け出すという少し現実離れした体験に俺もAさんも、少なからず興奮してるんだろう。

Aさんは、俺に似てる気がした。

だから、今欲しいものが時間だともわかった。

そして、何かから逃げたいことも。

聞き上手のAさんのせいか、ポロポロと、殻の中の弱い自分が出てきた。

それをAさんは、時折優しい相槌で受け止めた。

｢大我さんは、大我さんですよ｣

失望していた俺には、十分すぎる言葉だった。