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｢な……っあ"っ｣
声がした方を振り返ると､そこには壁をついてぜぇはぁと肩で息をしながらむせている夾がいた｡
そして思い切り地面にやらかしていた｡
｢ちょ……っ！何こんなトコで吐いてんだー！！｣
｢……キンチョウの糸……切れた……｣
｢意味不明……っ｡てゆーか汚いなぁ！！！｣
ゲホッケボッと何度かむせているうちに落ち着いたらしく､夾はふー……と小さく息を吐いた｡
｢多少スッキリした……｣
｢だろうねっ！こんなに吐けばねっ！｣
｢あ……あの､お兄ちゃん……コレ……っ｣
目線の少し下からハンカチが差し出され､夾が視線を向けると､不安そうにこちらを見上げる杞紗にAの面影が重なった｡
差し出されたハンカチに伸ばされた手は､少し躊躇うように拳を握るも､やがてそっとハンカチを受け取る｡
｢……サンキュ｣
杞紗はホッと胸をなでおろし､燈路ははぁー……っと深くため息をついた｡
｢あのさ……｡礼はともかく片付けなよね｡手伝うし｣
｢あ？いいよ一人で｣
｢オレが気になるんだっ！！｣
燈路と杞紗が道具を借りに行こうとその場を離れる｡
夾は杞紗から差し出されたハンカチをじっと見つめた｡
(……幻まで見てたら､重症だよな……)
会いたい｡
会いたいよ｡
＊＊＊＊＊＊＊
｢Aちゃん｣
｢……透｣
｢ここにいたんですね｡姿が見えないので､あちこち探してしまいました！｣
病院の屋上で､一人ぼーっと外を見下ろしていたAは､透の声に振り返った｡
見舞いラッシュもようやく一通りおさまり､A自身も歩くのに支障がない程に回復したため､散歩するようになった｡
透が持ってきたカーディガンを肩にかけて､二人でベンチに座る｡
｢寒くないですか？｣
｢うん｡空気吸うのに丁度いいんだ､ここ｣
透は穏やかにそう話すAの横顔を見つめる｡
屋上に吹く風が､ふわりと髪を揺らした｡
｢Aちゃん､髪伸びましたね｣
｢あー……実はね､伸ばしてたんだ｣
｢え？そうなのですか？｣
｢うん｡最初はそんなつもりなかったんだけど｡
……なんか､感じてみたくなって｣
草摩家のことや､母のこと､そして……夾とのこと｡
何か目に残る形として､自分が向き合ってきた証を感じたかった｡
｢……でも､もういいかな｣
｢え？｣
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言ノ葉(プロフ) - ベルモットさん» コメントありがとうございます｡少しでもこの作品の良さを知っていただけて嬉しいです｡完結まであとわずかですが､見守って頂けたらと思います！ (2021年5月3日 13時) (
レス) id: ebcac45cbc (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 初コメです。夢主とあきとの関係性が好みでした。フルーツバスケットは最近興味を持ち始めたもので、この夢小説を読んでより魅力が理解出来ました。 (2021年5月2日 17時) (レス) id: 88ef9ef77c (このIDを非表示/違反報告)
言ノ葉(プロフ) - ナツコさん» コメントありがとうございます｡何度も読み返してくださって本当に嬉しいです｡完結まで､優しく見守って頂けたらと思います｡ (2021年5月2日 0時) (レス) id: ebcac45cbc (このIDを非表示/違反報告)
ナツコ - この作品、とても大好きです。何度も読み返しては、泣いてしまいます。完結まで頑張ってください。 (2021年5月1日 20時) (レス) id: 58a748358e (このIDを非表示/違反報告)
言ノ葉(プロフ) - フレンダさん» コメントありがとうございます｡本当にどんどん終わりの時が近づいてきていて､書いてる私自身とてつもなく寂しい気持ちでいます(笑)それでも最後までしっかり書きたいと思いますので､引き続き見守っていただけたらと思います！ (2021年4月27日 15時) (レス) id: ebcac45cbc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：言ノ葉 | 作者ホームページ：https://twitter.com/KotohaJNWEST?s=09
作成日時：2021年4月22日 3時
