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こちらに手を伸ばそうとするAの胸ぐらを掴むも､その手は頼りなくAの胸を拳で何度も叩きつけた｡
｢“約束”も､“絆”も､“永遠”もない他人なんかと生きていくなんて……怖い……っ｡
怖い｡怖いよ……っ｡愛される､保証も無いのに､そんな他人に囲まれて､生きてなんかいけない｡
いけない……っ｣
世界が､コワイ
｢……なら､慊人さん｡私と､私達と始めませんか？今､ここから｡出会い方も間違っていました｣
Aは慊人に優しく微笑んで､手を差し出す｡
｢こんにちは｡私､本田Aと言います｡
……貴女のお名前は？私と､お友達になって欲しいです｣
｢…………っ！｣
パシっ！と慊人はAの手を振り払い､震える声で｢嘘つき……っ｣と突き放した｡
｢そんなこと言って……っ僕が泣いたらすぐ､鬱陶しくなるんだ｡僕がごねたらすぐ怒って､嫌になって､放り出すんだ……っ｣
Aと透は､そんな風に､小さな子どものように泣く慊人が､心から愛しいと思えた｡
二人でもう一度慊人に手を差し出し､微笑む｡
慊人は二人の笑顔を見ると､そっと差し出された手に目をやる｡
その時､慊人の心の暗闇の中で､優しく声が響いた｡
｢ここにいたんですね｡｣
心の暗闇の中､皆の輪の外で膝を抱える自分の両側にそっと寄り添うように座ってくれたのは｡
差し出された手を､慊人は今度こそ掴もうと手を伸ばした｡
その時｡ぐらりと地が揺れる感覚がしたのは､誰だっただろう｡
目の前の慊人が目を見開いている｡Aは自分の隣にいた透が､重力を失い落ちていくのを視界にとらえた。
｢っ透！！！｣
落ちていこうとする透の腕を､Aは間一髪で掴み､グイッと力の限りで目を見開く慊人の方へと引っ張った｡
慊人は反射的に倒れ込んできた透を受け止める｡
しかし､その時には｡
Aはそこにはいなかった｡
足場の無くなった目の前の崖｡慊人の隣で呆然と立ち尽くす透｡
慊人は目の前で起きたことが信じられず体が震えだす｡
｢あ……あ……｣
“……貴女のお名前は?”
｢ああ……っ！！｣
“私と､お友達に”
第116話
｢好きな人が出来ました｣
……To be continued
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言ノ葉(プロフ) - ベルモットさん» コメントありがとうございます｡少しでもこの作品の良さを知っていただけて嬉しいです｡完結まであとわずかですが､見守って頂けたらと思います！ (2021年5月3日 13時) (
レス) id: ebcac45cbc (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 初コメです。夢主とあきとの関係性が好みでした。フルーツバスケットは最近興味を持ち始めたもので、この夢小説を読んでより魅力が理解出来ました。 (2021年5月2日 17時) (レス) id: 88ef9ef77c (このIDを非表示/違反報告)
言ノ葉(プロフ) - ナツコさん» コメントありがとうございます｡何度も読み返してくださって本当に嬉しいです｡完結まで､優しく見守って頂けたらと思います｡ (2021年5月2日 0時) (レス) id: ebcac45cbc (このIDを非表示/違反報告)
ナツコ - この作品、とても大好きです。何度も読み返しては、泣いてしまいます。完結まで頑張ってください。 (2021年5月1日 20時) (レス) id: 58a748358e (このIDを非表示/違反報告)
言ノ葉(プロフ) - フレンダさん» コメントありがとうございます｡本当にどんどん終わりの時が近づいてきていて､書いてる私自身とてつもなく寂しい気持ちでいます(笑)それでも最後までしっかり書きたいと思いますので､引き続き見守っていただけたらと思います！ (2021年4月27日 15時) (レス) id: ebcac45cbc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：言ノ葉 | 作者ホームページ：https://twitter.com/KotohaJNWEST?s=09
作成日時：2021年4月22日 3時
