第９３話｢誰かのせいにするのは｣ ページ39
｢あのっ､それでは改めてご挨拶させていただきます……っ！！｣
｢不束者ですが､どうぞよろしくお願いいたします｣
Aと透はそう言いながら三つ指をついて頭を下げる｡
二人の向かいに座る藉真はそれを受けて､穏やかに笑みを深くした｡
｢いえいえ｡こちらこそ何かと至らぬ点があると存じますが……よろしくお願いいたします｣
｢い､いえそのような……っ！！私達には勿体ないお言葉でございまして……っ！！｣
｢あ､あの私達もこちらで過ごすからには存分に力を尽くさせて頂きますので……｣
｢……なんかお前､師匠のトコにヨメ入りしたみたいだぞ｣
夾の言葉に､Aは｢え？｣と下げていた頭を上げる｡普通に挨拶したつもりなのだが､夾にはそんな風に見えていたのだろうか｡
途端にAは顔をぼっと赤くして夾に詰め寄る｡
｢ち､違うよ？私はただ
｢わーってるよ｡冗談だ｣
｢そ､それに藉真さんにははなちゃんがいる……｣
｢決めんな？そーいうこと｡勝手に｡そして言うな？｣
Aの頬を両手でむぎゅっと挟み言葉を遮った夾は､鬼気迫る勢いでそう言った｡
学園祭で咲と仲睦まじく話していた姿が若干トラウマになっているらしい｡
そんな二人の様子を微笑ましく見ながらも､藉真は｢お部屋に案内しますね｣と立ち上がる｡
世間はもうすぐ新年を迎えようとしている｡
大晦日である今日､Aと透は藉真の家で過ごすことになった｡
事の始まりは､由希の一言｡
｢俺……今年の正月は本家に帰ろうと思う｣
｢え！？｣
｢由希君……｣
｢おやまぁ｣
｢一晩だけ……元旦の夜には戻るつもりだけど｣
｢どしたの由希君｡自分から本家に帰るだなんて｡頭でも打った？｣
｢打ってない｣
Aと透は由希の言葉に顔を見合わせた｡
彼の中で､なにか心の変化でもあったのだろうか｡
だけど､きっとそれは悪い事ではなくて｡
｢……行ってくるね｣
｢……はい！｣
｢行ってらっしゃい｣
由希なりに少しずつ､前へ進もうとしているのかもしれない｡
｢でも､折角帰るんなら一晩と言わず､もっとゆっくりしていけばいいのに｣
｢………………だけど､やっぱり…………三人だけにするのもどうかと…………｣
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言ノ葉(プロフ) - ゆちゃさん» 初めまして。コメントありがとうございます。そんなに喜んで頂けるなんて本当に嬉しいです｡改めて再開してよかったなって安心しました｡これからもどうか暖かくご支援頂けたら嬉しいです！ (2021年3月16日 20時) (
レス) id: ebcac45cbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆちゃ(プロフ) - 更新ありがとうございます！もう更新されないかと思って残念に思ってましたが久しぶりの更新に悲鳴をあげてしまったほどです。ゆっくりでもいいのでこれからも頑張ってください！だいすきです！ (2021年3月15日 0時) (レス) id: d8130fbf1f (このIDを非表示/違反報告)
言ノ葉(プロフ) - ルイちゃんさん» 初めまして｡暖かいコメント本当にありがとうございます！！遅れてしまった分､頑張って書き続けたいと思いますので､これからもよろしくお願いします(´∀｀*) (2021年3月14日 11時) (レス) id: ebcac45cbc (このIDを非表示/違反報告)
ルイちゃん(プロフ) - 更新がきてとてもとーっても嬉しいです！いつも通知が来ないから見ていたぐらい楽しみに待ってました！フルーツバスケットは本当に大好きでこれを読んだ瞬間涙が出ました。大変だと思いますが、無理なさらず更新をするという事を聞かれて嬉しい限りです！ 大好きです！ (2021年3月14日 10時) (レス) id: 37d47bd104 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちゃ(プロフ) - 更新楽しみにしてます、頑張ってください！！！！ (2021年1月15日 19時) (レス) id: 7447c314b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：言ノ葉 | 作者ホームページ：https://twitter.com/KotohaJNWEST?s=09
作成日時：2020年12月7日 20時
