拝啓､猫神様｡拾 (ページ48)

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“会った事があるような”

｢……なんで彼女達の事気にする？妙に彼女達を気にしてないか？｣

昨日の咲の話で､由希は翔が以前もA達を気にしていた事を思い出す｡

｢俺との関係が気になるから？

それとも……おまえ(・・・)と関係あるから？
会った事あるのか？｣

｢ん"ー……｡実は妹さんの事､好きなだけだったりして……｡とか言ったら？｣

｢……別に｡それはお前の自由だし､それをどうするかは彼女の自由だ｡俺に口を挟む権利なんかないよ｡

でも､興味本位とかからかい半分とか､そういう半端な気持ちで近づくのなら､俺も勝手にさせてもらう｡

傷つけるなら許さない｡……絶対｡

許せない……｣

それだけは､許せない｡

｢……それじゃあ何？俺がそーいう(・・・・)奴だったら､どう許さないの？｣

｢絶交する｡｣

｢……“絶……交”……？｣

ポカンとして由希の言葉を繰り返した翔｡
その場に僅かな沈黙が走った後､由希は我に返ったのか一気に顔を赤くして思わず｢絶交｣発言した口をおさえた｡

(ぜ！！？“絶交”ってなんだよオイ！！？ガッ､ガキじゃあるまいし“絶交”！？“絶交”って……！？

何言ってんだ！？どっから出てきたんだ！？
無茶苦茶効き目ないセリフだ！！笑われる！！)

脳内パニックになりながらも､翔に背を向けたまま動けないでいたが､とりあえず弁解しなければと振り返った｡

｢い､いやあの今のは……！！｣

｢な……っ

なんだよ由希！！絶交なんて言うなよな堅物おバカ！！
まだエロビデオの善し悪しについてさえ熱く語り合ってないじゃないかー！！｣

(え"ぇぇぇ！！？効き目アリー！！？)

由希の予想に反して､翔は子どものように地団駄を踏みながらうわーん！！と声を上げていた｡
するとその騒ぎを聞きつけたのか､公がワクワクした顔でこちらへ駆け寄って来た｡

｢なになにどしたのー？公も混ぜてー！！｣

｢ゆんゆんが秘蔵のエロビ見せなきゃ絶交って言ったー！！｣

｢言ってない！！それは言ってない！！｣
(※エロビは１８歳になってから)

｢とにかく俺！そういう奴じゃないし！！ちょっと言ってみただけだし！！｣

｢分かったよ分かった！！｣

半ば投げやりではあったが､由希が返事をすると､翔は｢ならばよしっ！｣と腰に手を当ててふんっ！と息をついた｡