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｢今のは正しい反応ね｡お団子あげる｣
｢ありがとう｣
｢え？あ､えっと……｣
｢どうぞ｡Aちゃんと透君も一本……｣
はい｡と咲がお団子の入った包みを差し出してきたので､A達は反射的に受け取る｡
｢しっかりしろや破滅的馬鹿｣
｢…………っせぇなほっとけ！！｣
｢………………｣
“お前には関係ない”
(そう言われるのは､初めてじゃないのに)
訪れたお土産屋で､ぼーっと商品を眺めながら､Aは胸を抑えた｡
どうしてか､胸がちぎそうに傷んだ｡
まるで｡
“協力してやっから｡俺が”
あの時と同じように｡
｢何かお探しですかー？｣
｢え？｣
いつまでも考え耽るAに､商品を選ぶのを迷っていると思われたのか､にこやかに店員に声をかけられた｡
しかしAは丁重に頭を下げて､そのまま逃げるようにお店の外へと走り出す｡
周りを見ると､修学旅行生で賑わっていて､透達の姿も見えない｡
(あ､あれ？もしかして皆とはぐれちゃったかな……)
探そうにも人混みが酷くて見つけられそうにない｡
これだけ混んでいると､由希と夾が心配だ｡
(二人とも大丈夫かな……)
すると､人混みを抜けた人通りの少ない所で､椅子に座る夾の姿があった｡
膝の上には白い猫が甘えるように座っていた｡
Aは先程の事を思いながらも､そっと夾に近づく｡
｢夾君……｣
｢おう｡どうした？｣
｢えっと……座ってるのが見えたから……｡お土産､見ないの？｣
｢あんな人混みじゃ､一発で変身しちまうだろ｣
｢ふふ……そうだね｡由希君もどこかに避難してるかも……｣
｢ま､土産って柄でもねぇし？ここで時間潰してた｣
｢にゃーお！にゃあー！｣
｢あー？なんだよ急に｣
かまってかまってー！と猫が夾の胸にスリスリと擦り寄る｡
それがなんとも可愛らしくて､Aはつい口元が緩む｡
｢可愛いね……っ｡夾君のお友達？｣
｢なわきゃあるか｡言っただろ？勝手に寄ってくる……｣
｢にゃっ｣
バリッと夾の言葉を遮って猫が鋭い爪で夾の頬を引っ掻く｡突然の出来事にAも目を丸くしてると､ストンと夾の膝から降りた猫が何か責めるようにゃにゃにゃー！と語り出して､最後はふんっ！と鼻を鳴らして去っていった｡
｢勝手に寄ってくる｣と言われたのが気に食わなかったのだろうか……｡
｢夾君平気……？｣
｢なんなんだ今日は……厄日か……？｣
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作者名：言ノ葉 | 作成日時：2020年10月21日 14時
