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｢そんなん当たり前じゃねぇの？｣
｢え？｣
｢あたしだって不安感じたりするぜ？背中ンあたりからジワジワ来るっていうの？
親父にはもっとマジメに考えろとか言われるしさぁ｡なんだかなー｣
｢私も……卒業してくれって言われたわ……｣
｢おめー､そりゃ最低ラインの話だろうが｣
ありさは呆れたように咲を見たあと､A達を心配そうに見つめる｡
｢でもお前らの場合､アレもコレも考えすぎるってトコあんじゃね？
頼むから､あんま溜め込むなよ？
それこそ｢今｣が勿体ねぇし､心配なんだよ……｣
｢あ…………｣
“｢今｣や｢今日｣､何が出来るかも大切”
Aは､以前紫呉が言ってくれた言葉を思い出して､そっと笑う。
｢……うんそうだね｡｢素麺｣だよね｣
｢ソーメン？シャレかぁ？Aがシャレなんて珍しいな｣
｢え？あ､ううん違くて……前に紫呉さんに言ってくれた事､思い出したの｡
不安になることもあるけど､そんな時は一休みして､みんなで一緒に素麺食べるといい……みたいな事を……｣
｢そう言えば､以前そのようなことを仰っていましたね！｣
｢へー……あの物書きがねぇ……｣
｢うおちゃん､はなちゃん……お話聞いてくれてありがとう｣
｢グチのような事を言ってしまって……でも､元気が出てきたです……っ！｣
｢お礼なんて……いいのよ……｡二人がいつもしてくれることを､返せただけだもの｣
優しくそう笑った咲に､Aと透はじーん……と感動して､咲の手を握る｡
｢はなちゃん……｣
｢ありがとうはなちゃん……｣
｢おーい花島ぁ｡人の手柄とんなぁ｣
｢ま､いいけど｣とありさは一息ついてから､透とAに忠告した｡
｢お前ら､あんまりあの物書きの事信用すんなよ？｣
｢え？｣
｢何故ですか？｣
｢ありゃ結構腹黒そうな男だぜぇ｣
｢歪んでるわね……｣
Aと透は思わず顔を見合わせる｡
確かにたまに大人故の躱し方をされたりするけれど､それでもA達にはいつも優しく､素麺の時のように励ましてくれたりする紫呉も､間違いなく紫呉の一面なわけで……｡
｢大丈夫ですよ！紫呉さんはとってもお優しい方ですよ！｣
｢うん｡昨日の事もそうだけど､いつも本当にお世話になってるよ？｣
そう言って笑う二人には､疑いの感情など一ミリも感じず､本当に信頼しているのだろう｡
(ま､こんだけ信用されてりゃ……)
(なけなしの良心も疼くってやつよね……)
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作者名：言ノ葉 | 作成日時：2020年10月21日 14時
