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｢嫌いな所しか分からない｡分からないから､嫌いなのに｡
なのに……無理矢理探してもこじつけみたいで､悲しい……｡
……そうじゃないんだ……｡そういう事じゃないんだ……｡
誰かに｢好きだ｣って言ってもらえて､初めて自分を好きになれると思うんだ…………｣
思い浮かぶのは､いつも暖かな笑顔で受け止めてくれる､二人の少女｡
｢誰かに受け入れてもらえて初めて､自分を少し許せそうな……好きになれそうな気が､してくると思うんだ……｣
杞紗は思い出す｡自分を受け入れて､抱きしめてくれたAのこと｡
｢大好き｣だと､溢れそうになる暖かさで抱きしめてくれた､透のこと｡
｢…………うん｡うん｡
…………うん｡嬉しかっ…………たぁ…………｣
途切れそうな小さな声｡それは､確かに杞紗の唇から紡がれた言葉だった｡
｢杞紗｡杞紗はこれから……どうしたい？このままでいいと思う？｣
由希の問いかけに､杞紗はふるふると首を横に振った｡
｢ダメ……｡ダメ｡ちゃんと……頑張らなきゃ……ダメ｡
もっと……どんどん……ダメな人間になってく……｡
仲直り出来なくても……無視……されたままでも……｣
心は未だ､凌駕されたままでも｡
｢でもちゃんと､頑張らなきゃ……ダメ｣
｢そうだね……｡頑張ろう……｣
いつかは､ダメな自分に立ち向かっていかなくては｡
｢俺も頑張る｡そしてまた悲しくなったり､辛くなったら､ここにおいで｡
ここには……｣
彼女達がいてくれる｡
｢……久しぶり｡やっと……声聞けた｣
潑春は後ろからそっと杞紗を抱きしめる｡
その温もりに､杞紗は改めて自分は一人ではない事を知り､噛み締めるように目を閉じた｡
＊＊＊＊＊＊＊
｢お姉ちゃん……｣
｢え？｣
バイト終わり､忘れ物を取りに行った透をビルの前で待っていたAは､ふと聞こえた鈴のなるような声に顔を上げた｡
するとそこには……｡
｢杞紗……ちゃん？｣
｢お姉ちゃん……っ｣
こちらへかけてくる杞紗は､確かに自分を呼んでいる｡その事実に､Aは思わずカバンを落として口を手で抑える｡
そしてたまらず駆け出して､飛び込んでくるその小さな体を抱きしめた｡
｢良かった……｡良かった杞紗ちゃん……っ！！本当に……っ良かったぁ……っ！！｣
｢Aちゃん？……杞紗さん……？｣
珍しく声を上げて泣くAに､ビルから出てきた透は目を丸くする｡
｢ど､どうし……！｣
｢お姉ちゃん……｣
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言ノ葉(プロフ) - ゆえさん» コメントありがとうございます！これからもワクワクした気持ちで読んでいただけるように精進致します！作品は今拾弐まで続いておりますので､引き続き読んでいただけると嬉しいです！ (2020年12月27日 21時) (
レス) id: ebcac45cbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆえ(プロフ) - 大好きなお話に巡りあえてわくわくした気持ちで読み進めています、とある少女の話での第三者からみた二人の姿がとても良くて感動しました。 (2020年12月27日 17時) (レス) id: 8e1c7d7280 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：言ノ葉 | 作成日時：2020年8月19日 12時
