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その光景を見ていた由希はふぅ……とため息を付くと呆れたようにA達に声をかけた｡
｢二人とも､もう行こう？｣
｢でも……｣
｢おめぇはなんでも気にしすぎなんだよ！！これ以上疲れさせんな！！｣
｢うん……｡ごめんね｣
｢……っべ､別に謝るこたァねぇけどよ……｣
しょぼん……としたAに慌てて訂正した夾は､再びAの隣に並んで歩き始める｡
｢小さい頃からそうなの……？それもやっぱり猫の体質なのかな……｣
｢まぁ､そんなもんだな｣
｢そっか……｡大変だね……｣
｢……そうでもねぇよ｣
そう話す夾の表情は､Aは気づいていないものの優しく笑っていて｡
そんな彼の様子を遠くから一人見ている人物がいた｡
｢……………………｣
＊＊＊＊＊＊＊＊
｢ったく！家に着いた途端に止みやがって！｣
｢でも良かったね｣
｢はい！｣
｢……ずっと降ってれば静かでいいのに｣
｢あ"あ"！？なんか言ったかクソ鼠……っ｣
｢きょーうーくーん！｣
家に入ろうと戸を開けた夾は､突如聞こえてきた可愛らしい声にピクっ！と肩を震わせる｡
するとそこにはニコニコと笑って玄関で待っている楽羅の姿があった｡
｢えへへっ！おかえりなさい……っ！
私の……夾くーん！！｣
ぴしゃん!!
楽羅が抱きつこうと迫ってきたが､夾は反射的に戸を思い切り閉めてしまう｡
その後に(ゴンッ！)という音が聞こえた気がしたのは気の所為では無いだろう｡
｢きょっきょっ夾君……っ！！｣
｢今痛そうな音したよ……？｣
(閉めたって意味ないだろ……)
由希の言う通り､楽羅は扉を開けようとガタガタと動かすが､夾は何がなんでも開けてたまるかとドアを抑える｡
｢夾君！？夾君どうしたの！？戸が閉まっちゃったよ！？｣
｢あーそうだな！こらもう一生開かねぇな！！！｣
しかしその瞬間！バリン！！と戸のガラスが割れたと思ったら夾の横スレスレに楽羅の腕が突き出された｡
｢開けろや……っ｣
｢……………………はい｣
夾､敗北｡
もう何度目かも分からない戸の破損に､紫呉はおいおいと涙を流したのであった｡
｢で！？なんだよ！用件をさっさと言えよ！！｣
｢え？無いよ､用件なんて｣
｢だから……無いなら来んなよ！｣
｢どうして……？会いたいから会いに来ちゃいけないの……？｣
｢俺は会いたくねぇんだよ！！｣
｢ひどい……っ｡ひどいよ……こんなに……｣
｢楽羅さ……｣
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言ノ葉(プロフ) - ゆえさん» コメントありがとうございます！これからもワクワクした気持ちで読んでいただけるように精進致します！作品は今拾弐まで続いておりますので､引き続き読んでいただけると嬉しいです！ (2020年12月27日 21時) (
レス) id: ebcac45cbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆえ(プロフ) - 大好きなお話に巡りあえてわくわくした気持ちで読み進めています、とある少女の話での第三者からみた二人の姿がとても良くて感動しました。 (2020年12月27日 17時) (レス) id: 8e1c7d7280 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：言ノ葉 | 作成日時：2020年8月19日 12時
