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「杞紗、元気にしていますか?」
「杞紗、ご飯ちゃんと食べていますか?」
「杞紗、あんまりボソボソした物好きじゃなくて……ニラ玉が大好きなんです」
「……って、話してくださいました」
「……それって、キサのムッティ、キサのこと思ってるってことだよね?じゃなきゃ、デンワなんてしないよね?」
「はい!」
透の話を聞いて、紅葉はぱあっと花が咲いたように笑った。「良かった!」と喜ぶ紅葉に、Aも嬉しくなって「良かったね」と笑う。
それを微笑ましく思いながらも、由希はふと考える。杞紗が話せなくなってしまった原因のイジメのこと。
「……それにしても、一体何が理由でいじめられてるのかな……」
「……なんだっけ」
「おい……」
杞紗の事は心配ではあるものの、あんまりそう言った外的要因には興味のない潑春。
由希はてっきり知っていると思ったので思わず突っ込んでしまった。
「ボク知ってるよ。オバさん達が噂してるのきいちゃったの。キサは絶対教えてくれなかったから。
あのね、最初はね、見た目だったって。髪とか目とかそういうの……。変な風に皆の気に障ったって」
「……毛色が違う物の怪憑きの奴はそう言われるのが宿命だな。俺も相当言われてきた」
「お前はそう言ってくる奴も端から
「え?」
「夾よりマシ……。あいつ半殺しにしてたもん。それはそれはものすごい問題児……」
「「え!?」」
夾もみかんのように鮮やかなオレンジ色の髪を持っている。普通ならば有り得ないその色が地毛だと言われても、信じる人は少ないかもしれないが……。
「でもね、キサも頑張ったんだって。”この色は仕方ないんだよ”って。
そしたら今度は、みんなから無視されるようになっちゃったんだって。でね、そうやって無視するのにキサが何か言うと笑うんだって。クスクス笑うんだって。
ボク……ボクね……、クラスでそういうのってされた事ないの。だから、想像するしかできなかったけど想像してみたの。
ボクが何か言う度にクスクス笑われたら、どんな気持ちになるだろうって」
それは…………それはとっても……
「とっても……悲しい気持ちなの」
「…………っ」
紅葉に釣られるように、透もポロポロと涙を流す。
話す度に、まるで全てを否定するかのように、可笑しいように笑われたら。それは、自分を否定されているようで。
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言ノ葉(プロフ) - ゆえさん» コメントありがとうございます!これからもワクワクした気持ちで読んでいただけるように精進致します!作品は今拾弐まで続いておりますので、引き続き読んでいただけると嬉しいです! (2020年12月27日 21時) (レス) id: ebcac45cbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆえ(プロフ) - 大好きなお話に巡りあえてわくわくした気持ちで読み進めています、とある少女の話での第三者からみた二人の姿がとても良くて感動しました。 (2020年12月27日 17時) (レス) id: 8e1c7d7280 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:言ノ葉 | 作成日時:2020年8月19日 12時