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杞紗の脳裏に浮かぶのは､くすくすと自分を見て笑うクラスメイト｡あの時のように､笑われてしまったら｡そう思うと､思うように口が開かない｡
｢はーいはい！バカで間抜けで押しに弱い夾君の言うことなんてケ･セラ･セラだよ､さっちゃん！｣
｢おい……っ！のるなさわんな気色悪ぃっ！｣
｢いやねぇてれちゃって｣
そう､杞紗はまだ言葉を閉ざしたままなのだ｡
｢あ｡そうだ｣
｢Aちゃん？｣
｢せっかくだから､これで決めよう｣
Aが持ってきたのは､アミダが書かれた紙｡
｢あ､なーる｡アミダで決めるんだね？｣
｢それはいいアイデアです！｣
｢じゃあ杞紗ちゃん､好きなとこ指してね｣
杞紗はアミダを見て少し考えると､ちょんっとある場所を指さした｡
｢はい､では……行きます……｣
｢……なんでそんな緊迫した空気出すんだ？｣
｢き､緊張しますね……！｣
ゆっくりとアミダを辿ったAは､折れ線で隠された部分をめくる｡
｢それでは発表します｡今夜は……ニラ玉に決定いたしましたっ！｣
おおー！と拍手をする透と紫呉だったが､約一名何とも言い難い表情で汗を垂らしていた｡
｢言うようになったじゃねぇか…………｡おまえも｣
｢え？あ！えっと､そんなつもりじゃなくてあの……｣
｢精々頑張って作れや……｣
｢ご､ごめんなさい……｣
今はまだ､言葉を閉ざしたままだけど｡
｢いやだねぇそんなことで痴話喧嘩｣
｢バッ！ちげぇっ！｣
｢ウっソ夾君痴話喧嘩の意味知ってるの！？｣
いつかきっと可愛らしい声で話してくれる｡
(……でも)
ずっと､逃げてる訳にもいかない｡
＊＊＊＊＊＊＊＊
｢キサ､元気そうで良かった！でも､いつまでもシーちゃん家に居る訳にはいかない……んだよね｡
これからどうするのかなぁ､キサ……｣
昼休みの屋上で､紅葉は心配そうに呟く｡
事情を知る潑春も､あれ以来紫呉宅には来ていないが､杞紗の事を気にかけていて｡
｢……今頃考えてんじゃないの｡根がマジメな分､考えなくてもいい事も考えそうだけど……｡
だからこそ､あそこまで自分を追い詰めちゃったんだろうけど……｣
｢後､母親もね｣
由希の言葉に､透がハッとして紅葉を見ると､紅葉は心配そうに俯いていた｡それを安心させる為､透は優しく紅葉に声をかける｡
｢紅葉君､杞紗さんのお母さんなら大丈夫ですよ｡昨日､お電話を頂いて……｣
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言ノ葉(プロフ) - ゆえさん» コメントありがとうございます！これからもワクワクした気持ちで読んでいただけるように精進致します！作品は今拾弐まで続いておりますので､引き続き読んでいただけると嬉しいです！ (2020年12月27日 21時) (
レス) id: ebcac45cbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆえ(プロフ) - 大好きなお話に巡りあえてわくわくした気持ちで読み進めています、とある少女の話での第三者からみた二人の姿がとても良くて感動しました。 (2020年12月27日 17時) (レス) id: 8e1c7d7280 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：言ノ葉 | 作成日時：2020年8月19日 12時
