拝啓､猫神様｡参 (ページ47)

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｢きーてきーてっ！ボクね､学校でね､はしゃぐなって言われてるの！はしゃぎついでに女の子に激突しかねないからって｡
だから学校ではクールに過ごすのーっ」

｢クールか！？そのカッコはクールか！？｣

｢その通りだ二年Ｄ組草摩夾君！！そのオレンジ頭も不愉快だが､男子たる者が女子の制服を着用するなど空前絶後！！厚顔無恥！！教師が許しても私は許さん！！なぜならば！！

私こそがこの学校の生徒会長･竹井誠！！またの名を､学園防衛隊隊長だー！！｣

突如現れた眼鏡の男子生徒は同じく眼鏡の女子生徒を両側に引き連れ､高らかに名を告げた｡
所々引っかかるキーワードが含まれていた気がするがとりあえず分かることは､騒がしさが倍になることである｡

｢バカがまた増えた｣

｢まったく入学早々問題児ばかりだな！！第一君はなんだ草摩撥春君！！白髪ではないか！装飾品までジャラジャラ付けおって傍若無人め！！」

｢会長……｡彼の髪は地毛です」

｢おぉ由希君！！御機嫌麗しゅう！！それはともかく地毛！？生え際は黒いではないか！！」

｢でも地毛なんです」

｢信じられんな！！非常識だな！！｣

確かに傍から見たら地毛にはとても思えないのだが､十二支の毛色を受け継いでしまう為これは致し方ない事だ｡
｢牛だから｣とも言えないだろうし､なかなか難しい問題である｡

｢では君の格好はなんだ！？ソレが君の地なのか草摩紅葉君！！男としてのプライドはないのかい！？今からそんな事では､君の人生失敗街道まっしぐらだな！！」

｢だって…だってボク､こっちの方が似合うもん…」

｢……待ってください会長さん｡見た目だけで人の人生を全て否定するような考えはやめてください｡私にしてみれば､人を傷つけることを平気で言うようなあなたの方が非常識です｣

｢ナマエカタカナ……｣

泣きそうな顔の紅葉の頭を､Aは優しく撫でる｡
そして安心させるように微笑んだ｡

｢なんだと本田A君！！私は本当の事を述べたまでだが！！｣

｢私も本当のことを述べたまでです｣

｢あ､あの！あんまり責めないでくださ……！｣

｢責めてなどいないぞォ本田透君！！私は常識に則った当たり前の意見を問うているのだ！！｣

｢……るせぇよ｣

聞こえてきた声に､会長らを除く全員が｢しまった｣と俯く潑春を見る｡

｢お山の大将気取ってんなよ｡耳障りなんだよ｡クソ野郎！！」

｢な！？」

｢それじゃあ聞かせて頂くけどよ｡三つ折り靴下履いてりゃカツアゲしねぇのか？ピアスしてなきゃいじめしねぇのか？髪が黒けりゃ人殺さねぇのかよ！｣