3 ページ46
｢おらみろ､ボケッとしてっからだ｡アホゥ｣
｢うぇ？｣
ぺちんと軽く頭を叩かれたが､イマイチ理由が分からずAははてなを浮かべる｡
｢自分達でいる時くらいキリっとしてろよ｡んな隙だらけじゃ誘拐されても文句言えねぇぞ｣
｢は､はい！｣
｢大丈夫だよ透｡私がいる時はいつも通りで｣
｢言っとくが二人まとめて言ってんだぞ俺は｣
｢え？私も……｡う､うん頑張るね｣
無表情ながらもキリッとした顔を保とうとするAに､夾は｢お前ら二人だけの時って言ったろ……｣と呆れるように言う｡
｢俺が傍にいる時なら､いくらでもボケっとしてていいけどよ……｣
｢はいー……｣
｢うん｣
｢べ､別に今の妙な意味じゃねぇぞ！｣
｢え？妙って？｣
｢あ､いや……｡何焦ってんだ俺は……アホか｣
｢？｣
一人で焦ったり突っ込んだり忙しい夾であったが､その直後に響いた可愛らしい声に全思考を持っていかれることになるのであった｡
｢ハロー！ナマエカタカナー！トールー！｣
｢あっ！紅葉君！｣
｢こんにちは､紅葉く……｣
｢うわあああバカかー！！｣
｢夾君！？｣
紅葉を見た瞬間殴らずには居られなかったのか､夾はAの言葉を遮って物凄い勢いで紅葉の頭上にゲンコツを落とした｡
夾が動揺したのも､紅葉が女子生徒の制服を着ていたからである｡と言っても､さすがにスカートは履いてはいないが｡
｢うわあああん夾がぶったー！！｣
｢き､夾君落ち着いて……｣
｢なんでお前らはんなに落ち着いてんだ！！｣
｢私達は既に入学式で見てますので……！｣
｢バカかお前は！！よりによって女の制服着るやつがあるか！！｣
｢ちわ……｣
｢あ､潑春君｣
あん！？と夾がキレ気味でのんびりやってきた潑春を見ると､制服は男子であったがアクセサリーを多数身に付け､紅葉とは違った意味で目立っていた｡
｢まだジャラジャラしてる春の方がマシだ！｣
｢あー……いいじゃんか｡似合ってんなら｣
｢似合ってるよね！｣
｢はい！お似合いです！｣
｢可愛い｣
｢似合うのと恥は違う………｣
夾が頭を抱えていると､突然潑春がバッと両手を広げて歩き出す｡
その方向を見ると､呆れた表情でこちらへ来る由希の姿があった｡
｢全く……なんて格好してるんだよ紅葉｡春､お前も｣
｢由希君！役員のお仕事は終わりましたか？｣
｢ううん｡まだだけど､ちょっと見回りがてら様子見に｣
｢大変ねっ」
｢………そう思うなら仕事増やすような真似するなよ？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 244人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：言ノ葉 | 作者ホームページ：https://twitter.com/KotohaJNWEST?s=09
作成日時：2020年7月17日 13時
