拝啓､猫神様｡参 (ページ38)

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｢メショーさんもソーマの人なんだよ｡でも体が弱いから､リョーヨーもかねてここに住んでるの」

｢そうなのですか……｣

｢驚かせてごめんなさいね……」

女将の女性は､先程よりは幾分か顔色が良い様子で頭を下げる｡
しかしそれでもまだ顔色は青白い｡

｢でも､そのようにお体が弱くて､女将さんの仕事は大変では……」

｢そうでもありません……｡普段は代わりの者が女将のフリをしていますの…｡私はいわゆる影の大番長といったところでしょうか……」

｢それもう女将じゃねーよ｣

｢無理はしないで下さいね｡体が一番大事ですから……｣

｢あらあらお優しい子…｡ありがとう｡
紫呉ぼっちゃんにもいらしてほしかったわ………｡お仕事がお忙しいのかしら……？」

｢紫呉“ぼっちゃん”ー！？んな年かよアイツは！！」

｢〆切が二本重なってるんだって｣

(この人も草摩の人……｡ってことは､十二支の事も知ってるのかな……)

もしかして､この女将さんも十二支の一人だろうか……｡と､ついそんなことを考えてしまう｡隣を歩く透も同じことを思っているのか､考え込んでいるようだった｡

｢さあさ､お部屋に着きましたよ｣

｢わー！ひろいねー！ナマエカタカナ見てみて！外がイチボー出来るよ！｣

｢わ｣

案内された部屋に､紅葉は目をキラキラさせながらAの手を引いて奥の談話スペースへ駆け寄る｡

｢ほら見て！綺麗ね！｣

｢ほんとだね……｡わ､下に川が見える……｣

楽しそうな二人に女将は頬を緩ませて微笑ましそうに見守る｡

｢透さん方のお部屋はお隣になります……｣

｢ありがとうございます！

｢おい……｡もしかしなくても俺はクソ由希と同じ部屋か……？」

｢相変わらず仲がお悪いのね｡安心してください｡フスマでお部屋区切れますから」

｢そーいう問題じゃねぇよ！！なんでこんな宿でまで由希と同じ………」

｢そーんな事言ってぇ｡キョーはナマエカタカナと同じ部屋に寝たいんでしょー！」

｢あ゛！？｣

｢下劣……」

｢バッ！!そういう意味で言ったんじゃねぇよ！紅葉てめぇいい加減なこと……を……」

｢夾ちゃんんんんんんっ!!
あろうことか婦女子と同室がいいなどとたとえ貴方が猫であろうと貴方自身はいい子と信じていたのに､いつからそんなイイイイインランな子に成り下がっておおおそろしやあああ！！！！！｣

｢おめぇの方がおそろしいよ！！」