拝啓､猫神様｡参 (ページ13)

今日:18 hit、昨日:11 hit、合計:210,680 hit

3 ページ13

やっぱり昨夜､無理を言ってでも休んでもらうべきだったとAは背中を擦りながらも悔やむ｡
透も肩に手を添えながらも同じような気持ちでいるのだろう｡今にも泣きそうな顔をしていた｡

｢……本家は嫌……か｡勝負は一時お預けにしていいか？夾」

｢あ､ああ」

｢んじゃ､紫呉先生の家に行くか」

｢ったく､したら持久走もお預けって事かよ｡ばっかくせぇ｡俄然シラけちまった」

｢タクシーって手もあるが…駄目だな｡もし由希が変身したらメンドーだしな」

｢わっ､私達もご一緒します！」

｢何でもします｣

そう言ったA達に､潑春少し考えた後にフッと笑った｡

｢……そうだな｡アンタ達結構可愛いし｡協力してもらおうか｣

｢……え？｣

｢……どうせ抱くなら､可愛い方が良いって言ってんだよ｣

抱く？とは？とAがきょとんとしていると､不意にグイッと腕を引っ張られ､気付いた時には潑春に抱きしめられていた｡

｢………！｣

｢わああああ！！｣

｢……不埒な野郎め｣

唐突に抱きしめられた衝撃で､Aは思わずペタンと尻もちをつく｡
透も勢いのある煙に呆気に取られていると､だんだん煙が晴れていき､潑春の声もはっきりと聞こえてきた｡

｢これで運んだ方が由希も楽だろ｡元に戻んねぇように首根っこ抱いてろよ｣

｢｢ひっ｣｣

煙が晴れると同時にぬっと大きな影にA達は声を上げる｡見上げるとそこには……｡

｢モー｣

元気に鳴く牛さんがいらっしゃいました｡

ーそして､一方その頃咲は……｡ー

｢きた………｡きたわ遂に……｡今ならハッキリと言える……｡

ロイヤルで､ストレートなフラッシュよ……」

｢うっげぇ！！マジかよォ！！」

｢なんでそんないいカードばっかくんだぁ？」

｢お前ら走る気ないなら帰れ｣

校門前で元気にポーカーをやっていた……｡

＊＊＊＊＊＊

｢で｡その姿でここまで帰ってきたわけだ？

くくく…う…うしのまま…っ」

｢笑い事じゃねぇっ」

無事牛のまま家へと着けたが､この姿はやはりと言うべきかかなり目立ち､子どもたちに着いてこられるわ視線を浴びるわで大変だった｡
紫呉はそれを想像したのかプークスクスと笑い､潑春ははよ上がらせろと言わんばかりに紫呉の浴衣の裾をはむはむと噛んだ｡