第６話｢#どこまでもずっと､そばにいるから｣ ページ9
昨日から一夜明けても､Aは俊平の事が頭から離れなかった｡
朝登園した時も､｢よろしくお願いします｣と笑ってはいたけれど､だいぶ無理をしていたように思う｡
そして何より､陽の元気がなかった｡
外遊びの時間も､陽はずっと部屋の中でトリプルグリーンの絵を描いていた｡
｢はぁ………｣
｢A先生､何か悩み事ですか？｣
無意識についたため息が聞こえていたのだろう｡佐山が心配そうに声をかけてきた｡
ちなみに今は午睡中｡子どもたちもぐっすり眠っている中だったので､余計目立ったに違いない｡
｢ごめんなさい｡仕事中にため息なんて良くないですね｣
｢いいえ｡気にしないでください｣
そこへ､机の上にあったAのスマホがLINEの着信を知らせた｡
そこに表示されたのは蒼介の名前｡
小山内蒼介今夜､集まって相談に乗ってやりませんか?
LINE画面を見た後､Aは静かに蒼介に返信のLINEを送った｡そんなAを､佐山は心配そうに見る｡
｢あの､僕で良かったら相談に乗りますよ？｣
｢相談……｡相談って､どうやって乗ってあげたらいいだろう｣
｢え？｣
｢子どもたちに関することなら､何してあげるべきかなんてたくさん思いつくのに……｡一人の人の事になると､こんなに難しいんだ……｣
｢あの……それって……｣
｢相手の同じ目線には､どうしたって立てない｡それなのに､どうやって相談に乗ってあげたらいいのかな｡
私には……難しいや……｣
｢……先生は､それだけその人のためを思ってあげてるんですね｣
｢……え？｣
｢同じ目線には立てなくても､だからこそ力になれることだってありますよ､きっと｡
だって､その人のためにこれだけ悩めるんですから｣
｢……そうかな｣
｢はい！｣
佐山の方が何故か自信満々に頷き､Aは思わずぷッと吹き出す｡
｢そうかもしれないですね｣
｢はい｣
＊＊＊＊＊＊＊＊
その頃､にじやではめいくがギターを弾きながらみどりの絵本を見ていた｡
そこへ蒼介がやってきて､空気清浄機のスイッチを入れる｡
｢午後から仕事探しに行くって言ってたよな？｣
｢なんか､俊平さんの事をずーっと考えちゃってんだよねー……｣
｢いいとこあんじゃねぇか｣
｢いいとこしかないから！｣
蒼介が座敷に座ると､めいくもギターを置いて蒼介の向かいに座った｡
｢さっき俊平から返信来たよ｣
｢なんだって？｣
｢今日はもう家に帰るって｣
｢はぁ……そっか……｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 519人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とも(プロフ) - 楽しかったですー(^ー^)!!!今後の続きも楽しみにしてます♪ (2021年9月12日 0時) (
レス) id: ff2a1100bf (このIDを非表示/違反報告)
神ちゃんGirl(プロフ) - 待っていました！ありがとうございます！ぜひスローペースになってもいいのでぜひ続けて書いてください！ (2021年9月8日 16時) (レス) id: 651e60b3e1 (このIDを非表示/違反報告)
はろ。(プロフ) - たのしみに待ってます！ (2021年9月8日 1時) (レス) id: 553ee9b60b (このIDを非表示/違反報告)
言ノ葉(プロフ) - 優衣之助さん» コメントありがとうございます！少しスローペースになるとは思いますが､頑張ります(´∀｀*) (2021年8月18日 20時) (レス) id: ebcac45cbc (このIDを非表示/違反報告)
優衣之助 - 待ってました！いやーこの後の物語も楽しみです！待ってます！頑張ってください！ (2021年8月18日 1時) (レス) id: 6e2a5698bc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：言ノ葉 | 作者ホームページ：https://twitter.com/ShinyStars1029?s=09
作成日時：2021年8月18日 0時
