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「A」
「はいはい?」
「明日、少し早めに学校行きたいから、先に出るね」
「わかった。ギターの練習?」
「うん。まだつまづくところあって」
「そっか。頑張ってるね!」
「歌詞は、まだ全然書けないけど」
真冬のギターは、日を増す事に上手くなっていった。
元々耳もいいし才能もあるからか、時々こちらも驚く速さで進化する。
しかし、未だに歌詞は一文字も書けないまま、ライブの日は近付いていた。
そして、次の日。
朝、真冬を見送ってからいつもの時間に登校したAは、上ノ山に声をかけた。
「ねぇりっちゃん」
「ん?」
「冬ちゃんね、ギターつまづくところあるみたいなんだ」
「知ってる。この間弾きづらそうにしてたし。昼休み見てやるから」
「ありがとう!私も行っていい?」
「おう」
「りっちゃんてさ、冬ちゃんのことよく見てくれてるよね」
「はぁ!?べ、別にそんなんじゃねえし!!」
「またまたぁ!」
****
「んー……まぁいいんじゃね?」
「ほんと?」
「りっちゃんすごい!さっきよりも全然良くなってるよ!」
一通り上ノ山に教わり、一緒に合わせてみると、真冬が気になっていた点は徐々に良くなって行った。
近くで聞いていたAもぱちぱちと拍手する。
「あとは手元見ないで弾けるようにしねぇと」
「見ないで?」
「下向いて歌えないだろ。マイクあんだから」
「あっ、そっか」
じーっとギターを見つめると、真冬はスクッと立ち上がる。
「!」
「お?」
そして目を閉じてスーッと息を吸うと、正面を向いたまま弾き出した。
突然のことに、上ノ山はギョッ!としていたが、段々とあっちこっちへ向かう真冬の音色に比例するように表情が死んでいく。
弾き終わると、上ノ山は溜息をつき、Aは思わず苦笑いしてしまった。
「……あれ?」
「『あれ?』じゃねぇよ!おら!もっかい!」
それから日々はまたあっという間に流れていき、ライブまであと1週間となった。
真冬の歌詞は、綴られないままだった。
そうして自体は、とても良い状態とは言えないまま
「お前、伝えたいの?それとも、言葉にするのから逃げたいの?」
「……っ」
まるでゴール手前でもだもだするすごろくのように
「今のお前じゃ、真冬の音に喰われるよ」
「!」
停止と後退を繰り返す。
#07
投げられた賽
……To Be continued
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に - 最近ギヴンにハマった20代ですが、こちらの小説ほんっっっとうに最高です!!!!夢主の行動・気持ち・考えなど文からとても伝わってきて読みやすいです。お忙しいと思いますが、完結に向けて頑張ってください。楽しみにしております!! (2020年4月30日 13時) (レス) id: e8737ae1a9 (このIDを非表示/違反報告)
美咲 - アニメ終わって落ち込んでたら、映画っ!嬉しすぎて……2020年まで頑張っていけそうです!言ノ葉さん最終話までお疲れ様でした!番外?リクエストも更新、楽しみにしてます!に (2019年9月20日 15時) (レス) id: 7ef2d991dc (このIDを非表示/違反報告)
蓮華 - はじめまして!梶さんと春樹とのお話を書いてほしいです! (2019年9月20日 10時) (レス) id: eb587ffa62 (このIDを非表示/違反報告)
神夜(プロフ) - マシュマロが通信制限で使用出来ないのでボードの方に感想、リクエスト書かせて頂きました。御手数ですが見て頂けると嬉しいですよろしくお願いします。 (2019年9月18日 5時) (レス) id: 1c640baa7c (このIDを非表示/違反報告)
言ノ葉(プロフ) - 美咲さん» コメントありがとうございます!雨月さんめっちゃ美人ですよね……。10話の耳かけスタイルがとても色気爆誕でやばかったです…… (2019年9月16日 21時) (レス) id: 50b948882d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:言ノ葉 | 作成日時:2019年8月30日 15時