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視線を逸らしてどこか気まずそうに話す上ノ山。
もしかして、例のモヤモヤのせいで(※恋)真冬にキツく当たってしまったのだろうか。
「大変だろうけど、頑張ってね!」
「おう」
「ライブと、あともう一つもね」
「おう。……ん?あともう一つ……?」
はて……と考える上ノ山を見て、Aは小さく笑った。
*******
「失礼しました」
一礼をして職員室を出る。
スマホの時間を見ると、昼休みが終わるまでまだ少し時間があった。
真冬はもういつものところにいるだろうか。
どうしようかなと考えながら歩いていると、前から笠井が俯いて歩いてくるのが見えた。
どこか元気の無い様子に、Aは立ち止まって声をかける。
「笠井さん?」
「!」
Aの声に反応して俯いた顔をあげた時、Aはギョッとして駆け寄ってきた。
「どうしたの?何かあった?」
「……っなんでもないの」
「でも、泣いてる」
笠井にハンカチを差し出すと、笠井は目を丸くしてさらに泣き出した。
「笠井さん!?」
「どうして…」
「え?」
「どうしてAさん、普通に話しかけてくれるの?
私、あの時すごくひどい事言ったって……ずっと……っ」
「あの時……?あぁ、昼休みの?」
Aが聞くと、笠井は鼻をすすりながらこくんと頷いた。
「あの、もしかして私が風邪で休んだ時、笠井さんりっちゃんに何か言った?」
「え……」
「私が復活した辺りから、りっちゃん様子おかしかったし……ごめんね。疑うようなこと…」
「ううん……っ。私が、私が悪いの。佐藤君のこと、上ノ山君に告げ口して……そんな卑怯なやり方良くないって分かってるのに……っ」
「そうだね。卑怯だよ」
「……っ!」
「でも、それでもきっと、りっちゃんは笠井さんを責めたりなんてしないから。私が笠井さんを責める理由もないよね」
それに、もしかしたら上ノ山が自分の気持ちに気づけたのも、このことがきっかけになったかもしれない。
「だからほら!!」
「ん!!」
「女の子がいつまでも泣いてない!!」
少し強めに、笠井の目元を拭う。
きっと、自分に会う前に上ノ山にも会っていたのだろうか。
目元が真っ赤になるほど、笠井は泣いていた。
「今度冬ちゃん達に酷いことしたら、今度こそ本気で許さないからね?」
「……うん」
にこっと笑うAに釣られて、笠井も小さく笑った。
「一緒に戻ろっか」
「うん」
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に - 最近ギヴンにハマった20代ですが、こちらの小説ほんっっっとうに最高です!!!!夢主の行動・気持ち・考えなど文からとても伝わってきて読みやすいです。お忙しいと思いますが、完結に向けて頑張ってください。楽しみにしております!! (2020年4月30日 13時) (レス) id: e8737ae1a9 (このIDを非表示/違反報告)
美咲 - アニメ終わって落ち込んでたら、映画っ!嬉しすぎて……2020年まで頑張っていけそうです!言ノ葉さん最終話までお疲れ様でした!番外?リクエストも更新、楽しみにしてます!に (2019年9月20日 15時) (レス) id: 7ef2d991dc (このIDを非表示/違反報告)
蓮華 - はじめまして!梶さんと春樹とのお話を書いてほしいです! (2019年9月20日 10時) (レス) id: eb587ffa62 (このIDを非表示/違反報告)
神夜(プロフ) - マシュマロが通信制限で使用出来ないのでボードの方に感想、リクエスト書かせて頂きました。御手数ですが見て頂けると嬉しいですよろしくお願いします。 (2019年9月18日 5時) (レス) id: 1c640baa7c (このIDを非表示/違反報告)
言ノ葉(プロフ) - 美咲さん» コメントありがとうございます!雨月さんめっちゃ美人ですよね……。10話の耳かけスタイルがとても色気爆誕でやばかったです…… (2019年9月16日 21時) (レス) id: 50b948882d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:言ノ葉 | 作成日時:2019年8月30日 15時