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「ところであっちぃな……。お茶とかねぇの?」
「……そう言えば何しに来たの?」
「おい。来ちゃ悪いかよ」
「悪くないけど」
真冬の今思い出したかのような質問に柊が突っ込む中、玄純が興味深そうにドアの隙間から入ってきた毛玉を見つめていた。
「真冬、犬飼ってたんだ。」
「冬ちゃんが元気なかった頃に、おばさんが連れてきたんだよ。気分転換にって」
「へぇ……わ!」
「たま!待て!」
「何で猫みたいな名前付けてんだよ」
「毛玉だよ」
「くそ!」
(りっちゃんと全く同じ反応……)
なんか複雑……。と思っていると、真冬のスマホが着信を知らせる。
「……?」
「なに?メール?」
「色々エントリーするから、明日アー写撮るんだって」
「ふーん」
「アー写って何?」
きょとんとした顔で真冬が聞くと、柊はがっくりと肩を落とした。
「宣材写真のことだろ。んな事も知んねえの?」
「要はバンドの顔になる写真だな」
「俺らも撮らないとな」
「柊、バンドやってたっけ」
「おい!喧嘩売ってんのか。由紀とバンド組んでたの俺とシズだって覚えてるか?」
「そんなの知ってるし。ギターいないんじゃないの?
柊、友達いないでしょ」
「大丈夫?学校でシズちゃん以外に話し相手いる?」
「おまえらなぁ……っ!」
「ギター、今はサポート入ってもらってる」
「サポート?」
「ヘルプっつーか、一時的なメンバーってこと。
同じ高校の軽音部の友達なんだけど、事情知ってて、色々助けてくれてる」
イラッとした顔で詰め寄ろうとする柊を後ろから抑えた玄純が変わりに答えると、A達はあっさりと「そうなんだ」と聞き入れる。
……昔から思ってたけど何でこいつら俺の扱い雑なわけ?と思いつつ、何だかんだこれで幼なじみが成り立ってしまってるのがまた癪だ。
「そんなのがあるんだ……」
「厳密に言うと、何か色々説明しづらいけど」
「ふーん。……え?待って誰が歌ってるの」
「俺だけど」
「「………………っっ!」」
「ぶっ殺すぞてめぇら!!」
笑うのを必死に堪えているAと真冬の反応に、とうとう堪忍袋の緒が切れた柊であった。
翌日。某スタジオで予定通りアー写撮影が行われたのだが……。
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に - 最近ギヴンにハマった20代ですが、こちらの小説ほんっっっとうに最高です!!!!夢主の行動・気持ち・考えなど文からとても伝わってきて読みやすいです。お忙しいと思いますが、完結に向けて頑張ってください。楽しみにしております!! (2020年4月30日 13時) (レス) id: e8737ae1a9 (このIDを非表示/違反報告)
美咲 - アニメ終わって落ち込んでたら、映画っ!嬉しすぎて……2020年まで頑張っていけそうです!言ノ葉さん最終話までお疲れ様でした!番外?リクエストも更新、楽しみにしてます!に (2019年9月20日 15時) (レス) id: 7ef2d991dc (このIDを非表示/違反報告)
蓮華 - はじめまして!梶さんと春樹とのお話を書いてほしいです! (2019年9月20日 10時) (レス) id: eb587ffa62 (このIDを非表示/違反報告)
神夜(プロフ) - マシュマロが通信制限で使用出来ないのでボードの方に感想、リクエスト書かせて頂きました。御手数ですが見て頂けると嬉しいですよろしくお願いします。 (2019年9月18日 5時) (レス) id: 1c640baa7c (このIDを非表示/違反報告)
言ノ葉(プロフ) - 美咲さん» コメントありがとうございます!雨月さんめっちゃ美人ですよね……。10話の耳かけスタイルがとても色気爆誕でやばかったです…… (2019年9月16日 21時) (レス) id: 50b948882d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:言ノ葉 | 作成日時:2019年8月30日 15時