4 ページ22
｢……なんや｡下で呼んでる｣
重岡は立ち上がって外へと出ていく｡
私はドキドキする胸を抑えてとりあえず大きく息を吐いた｡
び……びっくりした……｡
｢ねー！２４日ホンマにあかんの？｣
｢ムリ｡ってかしつこいねん｣
｢なんやのもー！部活の集まりなんかほっとけばええやん！男ばっかやろー！？｣
外から文句を言っているその声は､部屋の中にまで響いていて､この間ゲーセンで会った女の子の声によく似ていた｡
……イブ､誘われてたんだ｡
(人に好きだのなんだの言っといて､ちゃっかり手広げてるじゃな……)
と､ここまで考えて私はあれ？と思う｡
何で私がそこでモヤモヤしてんの？
(んん？？)
結局､あの後特に話も作業も進展しないまま､私は重岡から逃げるように帰り､買い物をするためにスポーツ用品店に立ち寄った｡
その間も､モヤモヤと考えるのは憎らしくも重岡の事で｡
(別に｡あの女の子と重岡がどこでいつ何しよーと私には関係ないじゃない｡
何だか最近､無駄なことばっかり考えてる気がする)
そうだ｡あいつに関わるまで､こんな事はなかったはずだ｡
こんな風に迷ったり､何かに振り回されたりしないで､もっと自分を抑えることが出来たのに｡
必要なものをカゴに突っ込み､店内を歩いていると､ふと目に入ったリストバンドのワゴン｡そのうちの一つを手に取った｡
(……そう言えば､あいつこういうのしないな)
似合いそうだけど……｡
赤いリストバンド付けた重岡の姿を想像し……かけた所で我に返る｡
(バカタレ！！プレゼントなんて買ってどうすんだ誰に渡す気だ)
これじゃあまるで……｡
まるで……
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
｢｢｢メリークリスマース！！アンド三年生の皆さんお疲れ様でしたー！！！｣｣｣
クラッカーの音と共にどんちゃん騒ぎするバスケ部の姿はなかなかにアホに見える｡
結局､あれから自分の中の嫌な予感を見て見ぬふりしたまま当日を迎えてしまった｡
｢Aちゃん､男の子って増えれば増えるほどアホになるん面白いよねー｡｣
｢ええ｡不思議です｣
というか……私今クリスマスどころでは……｡
｢Aさん｡キューリ焼いて食うん？ヤバいな｣
重岡に突っ込まれて我に返ると､私の箸は間違いなくキューリを掴んで鉄板に置いていた｡
いやいや誰のせいでこんなことになってると……！！
｢あんた食いなさい｣
｢やだ｡俺キューリ大嫌い｣
｢へぇ……｣
｢ちょ､置くなや｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 86人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽや - ふぁぁぁぁ続きがキニナルすぎるし、主様小説の作り方がうますぎる…はやくみたいいいい (2021年8月1日 4時) (
レス) id: 1dc60e8858 (このIDを非表示/違反報告)
A - どうしましょう！？！？主様大変大変面白いです！！！！！面白すぎます！！ものすごくこの続きが気になります､､､大変だと思いますがお話更新楽しみに待ってます！ (2021年7月31日 22時) (レス) id: f0c11ee780 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：言ノ葉 | 作者ホームページ：https://twitter.com/ShinyStars1029?s=09
作成日時：2021年6月14日 17時
