全て諦めようと思う。【佐野万次郎】 (ページ8)

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Aside

帰り道。右からケンちゃん、万次郎、私の順番に横に並んで歩いている。

『あの…さ、』

「ん？どうした？」

キョトンとした顔でこちらを見つめてくる万次郎。

うわぁあぁああ！！！！
言えねぇぇぇ！！！嫉妬したって言えねぇぇぇ！！！

「何かあった？」

今！言わなきゃ！A！
あんな妖怪に大ッッッ好きな万次郎を取られていいのか!？

『いや、ぁ、…あの………嫉妬した…(ﾎﾞｿｯ』

「は？」

え？万次郎の逆鱗にふれた？
もしかして言ったらダメだった感じ？

ケンちゃんに助けを求める。が、笑顔でニコニコしてた。おい？いつものママっぷりはどうした？

そんなことを思ってると、万次郎から思いがけない一言が。

「可愛すぎ。」

『え？』

「はぁぁ～……、ケンち～ん、なんでAはこんなにも可愛いわけ？」

「無敵のマイキーが唯一勝てねぇ相手だな。」

『えっと…その…嫉妬したから…その…』

言ってやれ！

『あんまりアイツと関わらないで欲しい…かな？』

「それは…」

は？なんで？

『なんで？』

「アイツ、さ。親いねぇんだよ。てか、最近逝ったわけ。」

『……』

「だからさ、極力Aの事を優先するけど、時々…愛実の事を優先する場合も、ある。
そこは、理解してくれるか？」

そうだったんだ…。
私も親居ないから分かるけど喪失感が半端なんもんね…

『うん、分かった。』

しばらく空気が重いままだった。