251話「弟みたい」 ページ7
発言を頭の中でリピートする中...ギン君の泣き出してしまいそうな...悲しげで、尚且つ遠慮がちな助けを求める声が聞こえている。
ギン君を...死なせたくない。
しかし、それは...手元のスイッチを押す事で......
私自身の死を意味する事でもある。
ギ「A姉ちゃん......。
ごめん...ニャン......。
A姉ちゃんが...メダル交換した方が良いって言ってたのに...ボク...。」
『謝らないで...ギン君。
順位付けされている以上、嫌でも...誰かは最下位になってた。
だから、誰も...悪くないんだよ。
逆に...こんな辛い目に合わせてごめんね。
それに、私...ギン君の事が本当に大切になっちゃったんだ。
可愛かった頃の......小さい時の...弟みたいで。
だからさ......
最期に...
私を......
本当にギン君のお姉ちゃんにさせて...ね。』
もう...私の中に迷いは無かった。
ケ「なっ...!?」
自由に動かす事が出来る左手で...
サ「Aさん...っ!!」
覚悟を決めつつも震える手で...
赤いスイッチに触れた。
──瞬間──
下のポールを軸に...グルリと半回転して、ギン君と私の位置が変わった。
ギ「ニャァ...!?」
先程から固定されたままだった右腕に...今度は私へ確実に当たる様にレーザーの赤い光が腕を捉えた。
ノ「わー...これは凄いね。
流石のオレも想像してなかったよ...。
始まる前に...権利を使っちゃうなんて。
やるじゃん、A。
テメーの事、見直したよ。」
『それは...どうも。
これで...もう、ギン君に危険は無いんだよね。』
いざ...レーザーを前にすると大丈夫だと思っていた気持ちも...不安の方が勝って来る。
声が...身体が...震え無い様にするので精一杯。
ノ「もちろんだよー。
権利を持ってるのはAだけだしね!
ギンは終わるまでそこで見てるだけだ!」
『そう...。
なら、良かった...。』
ギ「良くないワン!!
どうして...A姉ちゃん!!
ボクなんかの...ために...。」
『大丈夫、ギン君。
私は...生きる事を諦めてなんかいないよ。
きっと...何かは出来るだろうから。』
閉じ込められたケイジさん達。
固定されてしまっている私とギン君。
ここにいるメンバーでは...何かする事は出来ないけれど、上にいるサラちゃん、ナオちゃん、レコさんなら...何か出来るかもしれない。
他人任せかもしれないけれど...。
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作者名:伊豆花織 | 作成日時:2022年11月3日 17時