２８３話「１回目」 ページ39
サラちゃんが落ち着いた所で...ケイジさんとお互いに目を合わせ、頷き合う。
ケ「サラちゃん。
...おまわりさん、鍵番なんだ。」
そう言って...ケイジさんは手にした私のタブレットをサラちゃんに見せる。
勿論...予め私の指紋で起動済み。
『そして...私が賢者ね。』
代わりに私はケイジさんから渡されたタブレットをサラちゃんに見せる。
サ「......！！」
ケ「まあ...これだけじゃ見せびらかしに来たようにしか見えないよね。
ちょっとお邪魔するよ。」
そう言ってケイジさんは...サラちゃんの脇を抜けて、電話ボックスの中へとスルリと入って行った。
サ「え...？
ケイジさん！何をしてるんですか！？」
『大丈夫、サラちゃん。
ケイジさんを...信じて。』
サラちゃんの声にケイジさんはこちらを振り向きながら...ニコッと笑いかけるとケイジさんが唯一持っている１回分のメダルを電話ボックスの中へと１つずつ入れて行く。
受話器を取れば...電話ボックスの扉が閉まっているため声は聞く事が出来なかったけれど、ケイジさんが話している口の動きを確認する事が出来た。
すると...やっぱり警報の様な大きな音が鳴り響く。
.........この音、嫌いだなぁ...。
ケイジさんが電話ボックスの中に入る前に私に返したタブレットを手に取り、確認すれば...役職は鍵番から平民へと変わった。
［ただいま１度目の交換が行われました。］
電話ボックスから出てきたケイジさんは自然の流れで私のタブレットを覗き込んだ後、自分自身のタブレットを手に取って確認するフリをしながらサラちゃんに言った。
ケ「へぇ...サラちゃんは平民だったんだね。」
サ「交換したんですか！？
自分の鍵番と...私の平民を！！」
ケ「賢者のAが一緒とは言え...本当におまわりさんがかぎば...」
サ「なに考えてるんですか！」
ケイジさんの言葉を遮る様に...かき消す様に飛び出したサラちゃんの怒り声。
『さ、サラちゃん...落ち着いて...！』
サ「落ち着けるわけないじゃないですか！！
貴重な交換機会だったハズです！
なぜこんな時に使ってしまうんですか！？」
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作者名：伊豆花織 | 作成日時：2022年11月3日 17時
