276話「守ったもの」 ページ32
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何となく感じてしまった人の存在感に意識がまだ若干ぼんやりとしたまま...ゆっくりと目を覚ませば、視点の合わない先にはオレンジが広がっていた。
パチパチと瞬きをすること数回。
そこには、ソファーに横になっている私を心配そうに覗き込んでいる...ギン君の顔があった。
『ギン...くん...?』
ギ「A姉ちゃん!!
起きたニャン!!」
グッ...と身体を伸ばす様にしながら、ゆっくりと身体を起こせば...ギン君は私のお腹の所へとギュッと抱き着いてきた。
ギ「A姉ちゃん......。
本当に...良かったワン...。
ボクのせいでA姉ちゃんが死んじゃったら...って思ったら、怖かったニャン...。」
『ごめんね、ギン君。
でも...ギン君にあんなに辛い思いをさせなくって、私は良かったって思ってるよ。』
ギ「ありがとワン...A姉ちゃん。
今度は......ボクが...A姉ちゃんの事...守るニャン!!」
スリスリと顔を擦り付けて来るギン君。
確かに感じ取れるその温もりに...私が助けられた命だと言う事を実感した。
Q「A...よかったぜよ!」
ケ「ひとまず...体調は回復したみたいだね。」
『本当に...ご迷惑お掛けしました。
おかげで...こうして無事に済んでます。』
医務室にはケイジさんとギン君、Qタロウ以外にソウさんやカンナちゃんもいる。
サラちゃん達は...何処にいるのだろう?
2日目以降囚われているであろうレコさんの事も...心配だ。
『えっと...サラちゃん達は...?』
ケ「オレも状況を詳しく知らないから教えて欲しいね。」
Q「サラとナオは...アリスがレコを探しに嘘の間に行ったのを追い掛けて行って...まだ来てないぜよ。」
そっか...。
アリスさんはずっとレコさんの事を気にかけてたし...合流出来たなら、そろそろ来るかもしれない。
アリスさんには...あのレコさんの事をニセモノだって言い放ってしまった事をちゃんと謝らないとだよね。
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作者名:伊豆花織 | 作成日時:2022年11月3日 17時