検索窓
今日:14 hit、昨日:18 hit、合計:10,490 hit

272話「決断」 ページ28

サラちゃんは......覚悟を決めた。


......レコさんに...ガタガタと腕を震わせながらも、その両手の平を向けた。


レ「サラ...!!」


穴へ向かって追い込む様に...グッと強く押した。
レコさんがサラちゃんに向かって攻撃仕返す事無く、膝をガクガクとさせながら後退る。


レ「やめて...!」


そして再び...サラちゃんはレコさんの身体を穴へ向けて...押し出す。


レ「許してくれ...!!サラぁ...!!」


レコさんの足場はもう無い。
あと一度...押したら、レコさんは針底に落ちて...串刺しになってしまうのだろう...。


そして......決心をしたサラちゃんは、手を再び前へ伸ばそうとした。


すると...。


それを遮る様に...ナオちゃんが飛び出て、レコさんを思いっ切り突き落とした。


ナ「はぁ...!はぁ...!」


サ「な...ナオさん...。」


ナ「ふぅ...ふぅ...。


......これ以上...これ以上、サラちゃんが背負う必要も...!
Aさんが苦しむ必要もないんです...!



沢山...沢山...押し付けちゃって......ごめんなさい。」


『ナオ...ちゃ......。』


声...上手く...出ない......。
身体が...麻痺して来ていて、痛みすらも分からなくなって来ている。


モニターで上に居る2人の様子を見ていたら...視界が少しずつ下がって行くのを感じた。


ギ「A姉ちゃん...!
もう少しで解放されるワン...!
だから、もうちょっと...頑張ってニャン!!」


『あ...とう...ギン、く...。』


下がり切った所で...宙ぶらりんになっていた足が地面に付いた、と同時に...身体を支えていた拘束も外れる。


『っぅ...!』


毒の麻痺のせいで力の入らなかった足では、身体を支え切る事は出来ずに...膝からガクンっと崩れ、床に倒れ込みそうになった。


ギュッ...と衝撃に耐える様に目を閉じれば、何かに包み込まれた。


ケ「ナイス、キャッチ...かな?」


『け...じさん...。』


包み込む温かさの正体は...ケイジさんの腕。
伝わって来る温もりが......まだ生きてる事を実感する。


ケ「口も本格的に回らなくなってきてるね...。
でも、本当に良く頑張ったよ...A。」


支えられた姿勢のまま...ケイジさんは立ち上がり、状況としてはお姫様抱っこをされている事になる。


『ひゃっ...!!』


ケ「このまま...医務室に向かうよ。
まだ...大丈夫だね?」


『だ...じょぶ...、です。』


ケイジさんに抱えられたまま、落ちない様に...縋り付く様に...首元に抱き着いた。

273話「解毒薬」→←271話「八分雨澪子」



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (33 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
74人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:伊豆花織 | 作成日時:2022年11月3日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。