272話「決断」 ページ28
サラちゃんは......覚悟を決めた。
......レコさんに...ガタガタと腕を震わせながらも、その両手の平を向けた。
レ「サラ...!!」
穴へ向かって追い込む様に...グッと強く押した。
レコさんがサラちゃんに向かって攻撃仕返す事無く、膝をガクガクとさせながら後退る。
レ「やめて...!」
そして再び...サラちゃんはレコさんの身体を穴へ向けて...押し出す。
レ「許してくれ...!!サラぁ...!!」
レコさんの足場はもう無い。
あと一度...押したら、レコさんは針底に落ちて...串刺しになってしまうのだろう...。
そして......決心をしたサラちゃんは、手を再び前へ伸ばそうとした。
すると...。
それを遮る様に...ナオちゃんが飛び出て、レコさんを思いっ切り突き落とした。
ナ「はぁ...!はぁ...!」
サ「な...ナオさん...。」
ナ「ふぅ...ふぅ...。
......これ以上...これ以上、サラちゃんが背負う必要も...!
Aさんが苦しむ必要もないんです...!
沢山...沢山...押し付けちゃって......ごめんなさい。」
『ナオ...ちゃ......。』
声...上手く...出ない......。
身体が...麻痺して来ていて、痛みすらも分からなくなって来ている。
モニターで上に居る2人の様子を見ていたら...視界が少しずつ下がって行くのを感じた。
ギ「A姉ちゃん...!
もう少しで解放されるワン...!
だから、もうちょっと...頑張ってニャン!!」
『あ...とう...ギン、く...。』
下がり切った所で...宙ぶらりんになっていた足が地面に付いた、と同時に...身体を支えていた拘束も外れる。
『っぅ...!』
毒の麻痺のせいで力の入らなかった足では、身体を支え切る事は出来ずに...膝からガクンっと崩れ、床に倒れ込みそうになった。
ギュッ...と衝撃に耐える様に目を閉じれば、何かに包み込まれた。
ケ「ナイス、キャッチ...かな?」
『け...じさん...。』
包み込む温かさの正体は...ケイジさんの腕。
伝わって来る温もりが......まだ生きてる事を実感する。
ケ「口も本格的に回らなくなってきてるね...。
でも、本当に良く頑張ったよ...A。」
支えられた姿勢のまま...ケイジさんは立ち上がり、状況としてはお姫様抱っこをされている事になる。
『ひゃっ...!!』
ケ「このまま...医務室に向かうよ。
まだ...大丈夫だね?」
『だ...じょぶ...、です。』
ケイジさんに抱えられたまま、落ちない様に...縋り付く様に...首元に抱き着いた。
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作者名:伊豆花織 | 作成日時:2022年11月3日 17時