２７０話「人形と人間」 ページ26
レ「......オレが...歌を...！？」
愛する歌を...歌えなくなっていると言う事実に...レコさんは困惑の表情を浮かべる。
サ「ちゃんと読んでください！
記事にはそう書いてあります...！
前のバンドにはアリスさんがメンバーとして入っていたんですよね...？」
ア「...その通りだ。」
サ「だから、歌えなくなった...！
兄の事を思い出してしまう歌をレコさんは歌えなかったんです！！
なのにアナタは...前のバンドの歌を自信満々に歌いきってみせた...！！」
ここにいるレコさん人形に結び付けられた性格は...最新へのアップデートが終わっておらず、アリスさんが刑務所に入れられてしまう前の性格だったと言う事だ。
だから...アリスさんにとって、レコさんは変わらないと言う判断になった。
サ「つまり...あなたにの性格は、３年前のヤブサメレコのまま止まっているんです！！」
これで...証明された。
ここにいるレコさんがニセモノのレコさんである事が。
レ「お...オレは...オレは...本物だ...。
ニセモノ...？
人形...？
違う...！！違う...！！
本物だ...！！
だって...！
オレは...！！
生きてる...！！
記憶だって...！！
感情だって...！！
あいつらの死を乗り越えて...！！
傷ついて...！！
お前らと助け合って...。
全部...プログラムだったのか...？
オレは...ニセモノ...なのか？」
どうして...。
どうして、人形に涙を流せる機能が搭載されているんだろう......。
どうして...人形に死が怖いと言う感情が搭載されているんだろう......。
どうして...人形は人の形をして、言葉を喋って、記憶を持って、感情があるのだろう......。
どうして......人間と人形の違いが血を流すか流さないかしか...ないのだろう......。
あそこに立っているレコさんも...レコさんなのに...。
どうして、彼女を犠牲にすることでしか...私は生きる事が許されないのだろうか.........。
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作者名：伊豆花織 | 作成日時：2022年11月3日 17時
