２３６話「下見」 ページ42
開いた扉の先は...ぼんやりと明かりで照らされていた。
その先が何処へ通じているのかは...ここからじゃ分からないけれど......何処かに通じている事は確かだ。
『......。』
思いもしなかった出来事に...ビックリして声が出ないと言うのは...この事を言うのだろう。
ケ「本当に......隠し通路が見つかったみたいだね。」
ケイジさんはケイジさんで...出来事の唐突さに口元を押さながら冷や汗を流していた。
『.........私...この先に行ってみます。』
ケ「危険だ。
Aにそんな事、させられない。
オレが行く。」
少しの恐怖と少しの好奇心。
そして...何か皆の力になるための情報を得たいと言う思い。
『危険でも...行かせて下さい。
私、ケイジさんに頼ってばっかりです。
......少しでも皆の...ケイジさんの力に...なりたいんです。』
ケ「A......。
気持ち...良くわかったよ。
いいかい、気を付けて...行ってくるんだ。
少しで良い...少しで良いから...何か情報を手に入れたらこの部屋に戻って来るんだ。」
手を...そっと取られる。
これから何が起きるか分からない場所へ探索に向かう私よりも...ケイジさんの手の方が震えていた。
『大丈夫ですよ...。
必ず...貴方の所に戻って来ます。
だから...誰か来ない様に、見張りをお願いします。』
私も手を握り返して、不安そうに揺れるケイジさんの瞳を見つめ返す。
私の覚悟は...ケイジさんに届いたのだろう。
握られていた手はゆっくりと離されて...安心させる様に肩を掴むと、私に力を分け与えてくれる様に優しく送り出してくれた。
ケ「じゃあ...頼んだよ、A。」
『はい...！
行ってきます、ケイジさん。』
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作者名：伊豆花織 | 作成日時：2022年10月10日 18時
