２３２話「犠牲者ビデオ４」 ページ38
色々と...考えてみた結果、結局私はモニタールームに来てしまった。
サラちゃんの発言を受け入れられないと知らないフリをする前に...自分の目で確かめたかった。
４枚目と言う事もあって...慣れた手つきでビデオを再生し始める。
女「はぁ...はぁ...。」
女性の...荒い息遣いが......聞こえて来る。
映像に映った女性の服装は...サラちゃんが言う様に、青を協調とした警察官の制服。
じゃあ...この人があの紙に書かれていた警察官の笹原恵さん...？
女「やめて...！お願い...！私を助けて...！！」
女性の前には...“誰か”がいる。
その誰かは...想像してしまっていても、認めたくない。
女「私は...職務を全うしただけよ...！！」
男「他に言うことはあるか...？
オレは...あんたとケリをつけなきゃ...前へ進めないんでね...。」
ああ...。
サラちゃんの言う通り、この後頭部はケイジさんの物だ。
警察官とは思えないほど...明るいこの髪色は......
そして、女性の言う職務は何かは私には分からないけれど...余り感情的にならないケイジさんがここまで声に“怒り”と言う感情を表している以上、もしかしたら...ケイジさんが撃ち殺してしまった大切なあの人の事が関わっているのかもしれない。
女「こんなことしても...なんの意味もない...！！
お願い！！スイッチを押して！！」
最後の...足掻きとでも言うのだろうか。
顔を涙で濡らした女性は...悲鳴の様な声をあげて、男性に...ケイジさんに装置を止める事を求めた。
男「............。
...............オレは......。」
黙り込む...ケイジさん。
最後に何を言おうとしたのは...分からなかった。
“オレは”に続く言葉がなんなのかは...。
女「いやああああああぁぁぁぁ！！！！」
と言う女性の声によって掻き消されたのだと思う。
床に垂れていた女性を拘束する鎖は...タイムリミットと共に、壁へと吸い込まれて行く。
背中を激しく打ち付けた後...それでも足りないとでも言う様に、鎖は女性の四肢を引き伸ばして行く。
そして...映像はそこで終了した。
『......。』
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作者名：伊豆花織 | 作成日時：2022年10月10日 18時
