２３１話「後ろ姿」 ページ37
キッチンから持ってきた醤油ラーメンを啜りながら、サラちゃんと会話をする。
サ「Aさんは...景品交換所で何か買いましたか？」
サラちゃんは垂れた髪の毛が汁に付かない様に押さえながら、麺をもぐもぐと咀嚼している。
『あー...一応ね。
足りなかったからクリアチップを買ったのと...犠牲者ビデオも３枚買っちゃった...。』
サ「景品交換所のビデオがごっそり無くなってると思ったら、Aさんが買ってたんですね！！」
『まあ...ね。
ミシマさんとか...カイさんとか......の情報だったりしないかと思って買ってみたんだけど...。』
“最初の試練のビデオだった。”と言おうとしたんだけれど...私が言うよりも先にサラちゃんがその言葉を呟いていた。
『サラちゃん...知ってたの？』
サ「はい...。
ナオさんが買った犠牲者ビデオを...ナオさんの応援も兼ねて、見せてもらったんです.........。」
その言葉は...思ったよりも静かで、それでいて悩む様な悲しげな声だった。
『そのビデオに...何が映ってたの？』
サ「......。」
『サラちゃんが言えたら...教えて欲しいな。』
サラちゃんの俯きかけていた顔が...私の目をしっかりと捉える。
サ「......実は...。
その犠牲者ビデオに......ケイジさんみたいな人の後頭部が映っていたんです...。」
『...！！』
ケイジさんが...？
.
サラちゃんがそのビデオの内容について...話してくれた。
薄暗い部屋に...鎖で拘束された警察官の制服を着た女性がいた事。
制限時間が迫る中...その女性が聞き覚えのある声の男性と話していた事。
そして...顔こそ見えないけれど、カメラの前に現れた男性の後頭部は見覚えのある金髪......恐らくケイジさんの後頭部である可能性が高いかも知れないと言う事。
そして...男性は、その女性を見殺しにした事......。
『.........。』
サ「......最初に見せてもらった時には目を隠しながらナオさんは見ていたんですけど、改めて...ナオさん１人で見たそうです。
その後に自分が持っているのは不安だから...と言う事で私がビデオを預かりました。
良かったら...Aさんも見てみて下さい。」
『あ、あり...がとう......。
よければ...サラちゃんも私が見た犠牲者ビデオ、見てみて...。
何か...手掛かりになるかもしれないし...。』
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作者名：伊豆花織 | 作成日時：2022年10月10日 18時
