死なないために足掻きましょう。５【キミガシネ】 (ページ20)

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２１４話「信じる気持ち」ページ20

『私...サラちゃんの所に行きます。
何も出来ないかもしれないけれど...サラちゃんの側に居てあげたい...。』

ケ「わかった...頼んだよ。
オレも......サラちゃんが落ち着いたら、一度話しておきたい事がある。
勿論...Aにもね。」

『じゃあ...行ってきます。』

.

.

.

泣いていたサラちゃんが...それを隠すために行く場所を考えた時、知っている人が限られているガレキの部屋かサラちゃんの寝室。
たけど...ガレキの部屋はロビーの方へ向かって行った事からも有り得ないため、素直に寝室へ向かった。

コンコンッ...。

誰も出歩いていない静かな廊下には...扉をノックした音が妙に響いた。

サ「誰...ですか？」

『サラちゃん...私だよ。』

サ「A...さん？」

ゆっくりと扉が開かれ...完全に開き切っていない隙間からは、目を少しばかり赤くしたサラちゃんが覗き込んでいた。

『ごめんね...。
サラちゃんと少し...話がしたくて...。

入っても...いい？』

サ「......はい。」

開かれた扉を潜り、サラちゃんの部屋へと足を運んだ。
クシャッ...と乱れた布団を綺麗に畳むと、サラちゃんはベッドに座った。
私もそれに合わせて隣へお邪魔する。

チラッと目を向けた所にある枕が...少し湿っていた事からも、サラちゃんは枕に顔を押し付けて泣いたのだろう。

『サラちゃん...。
泣かせちゃって......ごめんね。』

サ「大丈夫です...。
気にしてないって......言ったじゃないですか。」

『うん...そうだったね。
でも......身勝手かもしれないけれど、ケイジさんの事を責めないで欲しいの。』

サ「......。」

『サラちゃんは...きっとケイジさんの事を信じてただろうから、今は裏切られた様に思ってるかもしれない。
けど...信じる事と秘密を明かせる事は違うから......。
それだけは...分かって欲しいの。』

サ「っ......。

私...やっぱり...悔しくって...。

Aさんになら...ケイジさんはメダルを渡せたのかもしれないって思った時...自分が惨めに思えて...
Aさんの事も信じられないって...思ってしまいました...。」

サラちゃんが...涙を流しながら話してくれた本心。
それを聞けた事が...とても嬉しかった。

『まだ会って...数日だもん。
絶大の信頼なんて、持てる方がおかしいよ。
“信じたい”...。
今は、その気持ちだけでいいの...。』

サ「っ...はい！！」