２１０話「涙」 ページ16
ケ「...おまわりさん達を疑ってるなら、ガッカリすると思うよー。」
ソ「じゃあじっくり確認してみるよ。
充電器も見つけたことだしね。」
ケ「...なに...。」
どうして...ソウさんが充電器を持っているの...！
私達が...探していた物を......どうして、既に...手にしているの......！！
ソ「さぁ、カンナ。
ボクにパソコンを渡して。」
カ「...。」
サ「ダメだ！！カンナ！！
私の眼を見ろ...カンナ！！」
決して...カンナちゃんはサラちゃんの目を見なかった。
きっと...サラちゃんの意志のこもった瞳を見れば、カンナの決意すらも揺らがせる事が出来ると思ったけれど...。
カ「......ソウさん...約束したハズです。
...カンナがパソコンを持ってきたら...アレを渡してくれると...。」
ソ「......。」
カンナちゃんがソウさんに求める“アレ”の正体が何かは分からないけれど......隣にいるサラちゃんは何かを知っているみたいだ。
ソ「先渡しかぁ...意外と用心深いねカンナちゃん。
はい、約束の...スマートフォン。」
サ「なっ...！
やめて！！何を考えてるんですか！ソウさん！！」
サラちゃんの声に...否定の言葉はあるものの、何処か疑問の様な物も含まれていた。
ソ「...真実を教えてあげるのさ。
...カンナちゃんのお姉さんが最期に持っていた物さ。
何か残されてるといいね...。」
カンナちゃんは...ソウさんにパソコンを手渡し、ソウさんは持っているスマホをポケットから取り出すとカンナちゃんに手渡した。
『......。』
何が残されているのか...私には検討も付かないけれど、カンナちゃんはスマホの電源を入れると...スマホ画面を食い入るように見つめ始めた。
カ「...お姉...ちゃん...。
...うぅ...そんな......。
...お姉ちゃん...！！
...私も...大好きだよ...！！大好き...！！
お姉ちゃん.........！！」
『カンナ...ちゃん。』
カンナちゃんの...流す涙は美しかった。
これまで...苦しそうだったり、絶望に飲まれてしまう様な泣き方ばかりだったから...余計にそう見えてしまった。
なんて...幸せそうに泣くのだろう......と。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 65人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：伊豆花織 | 作成日時：2022年10月10日 18時
