２０５話「犠牲者ビデオ３」 ページ11
最後に...３枚目のビデオ。
ここまで来たら...最後まで見る。
？「......。」
再生したものの、音は...何も聞こえない。
故障かと思って頭を捻っていれば...パッと画面に色が付いた。
女「......。」
多分...女の子だと思う。
画面いっぱいに表示された特徴的な靴下。
それに伝っている赤い血。
何より恐ろしいのは......足がブラリと宙に投げ出されている事。
女「.........。」
女の子は何も喋らず...先程見てきたビデオとは違って、既に息絶えてしまっているのだろう。
？「あ〜あ...くだらない...。
カンタンに死んじゃってさぁ...。」
やっと...音が聞こえたと思ったら......何処か聞いた事のある、男の子の様な声。
ノ「もっともがけよ...。
命に執着してさ...みじめったらしく抗えよ...。」
スッ...と画面の真ん中に現れたのはノエルだった。
多くを身に付けずに...シンプルな黒いシャツの姿だった。
ノ「つまんない人間...くだらない人生...。
...テメーの服は、いらないや。」
やはり...これから最初の試練の犠牲者の服を集める所だったのだろう。
女「............クク...。」
小さく...女の子の声が聞こえた。
まだ......生きていたんだ。
ノ「...ああ？」
女「......あなたが......これを...？」
ノ「...ヒヒヒ、そうだよ？
悔しい？悔しい？」
女「......ちょうど...死にたかったの...。
...あり...がと...。」
ノエルの煽る様な素振りも納得が行かなかったけれど...女の子の方は......死にたがっていた。
強がりで言ってるのかもしれないけれど...そんな感じもしない。
ノ「............はぁ？
はぁ？はぁ？
みじめに死ねよ...！！
気持ち悪い...気持ち悪い...！！
ムカつく！！ムカつく！！
苦しめよ！！
地獄に落ちろ！！落ちろ！！
オレに礼を言ったことを...後悔しろ！！」
幼い子供が...母親に物を買ってと願った時に......叶わなかった時の様な......駄々のこね方。
そして...既に奪われた命を...癇癪をぶつけるかの様に...何度も...何度も...痛めつけていた。
それは......人間と言う存在が酷く憎たらしいと言う様な表情だった。
人形であろうノエルは...人間が羨ましくて、そして...それ以上に憎たらしいのだろう。
人間になる事が出来ない、嫉妬が故に......。
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作者名：伊豆花織 | 作成日時：2022年10月10日 18時
