死なないために足掻きましょう。１１【キミガシネ】 (ページ29)

今日:25 hit、昨日:1 hit、合計:8,659 hit

５２３話「逃亡」ページ29

シンさんからのお願いを...無碍に出来なかった。
だから、カンナちゃんに向かう攻撃を私が受けようとした。

─────────......なのに...だ

何かを...貫く様な、激しい音が聞こえた。

私に...痛みは感じない。

変わりに...誰かの苦しむ声が耳に届いた。

「がっ......」

その音に...身体を背後に向ければ───

クルマダさんが床に倒れ込み、周囲にはクルマダさんの物であったであろうパーツが幾つも飛び散っていた。

『く、クルマダ...さん......？』

私の腕の中にいたカンナちゃんは、飛び上がると青い顔をしてクルマダさんに近寄った。

カ「あぁ...！！クルマダさん！！」

メ「ううぅぅうぅ...！！
ああぁあぁぁあ...！！」

ヒ「逃げるよ！５階に！！」

突然の出来事に皆が判断出来ない中、ヒナコちゃんが叫ぶように伝えた。

サ「......！！」

Ｑ「肩につかまれぜよ！！クルマダ！！」

ク「グッ......！」

クルマダさんに肩を貸してふらつくＱタロウさんを見て、慌てて私も片方の肩を貸す。

メ「早く...！！！！
うああぁあぁあ...！！」

メイプルは自分自身の感情に抗って、私達が逃げる為の時間を何とか作ろうとしてくれている。

私達は...ひとまず、部屋の外へ出る事にした。

.

.

.

Ｑ「うぐっ...！」

部屋を出た時...Ｑタロウさんが傷口を押さえながら、膝を崩した。

クルマダさんの体重がグッ...と私に掛かって、私も転びかけたのをレコさんが支えてくれた。

ヒ「何してんの！急いで！」

マ「ま、待って！みんな！
Ｑタロウさんはケガをしてて...！」

Ｑ「レコ...！！
すまねえ、肩を貸してくれ...！！」

レ「ああ！つかまれ！」

レコさんは私から離れるとＱタロウさんに近寄った。

Ｑタロウさんがレコさんの肩を借りるのだと誰も疑わなかった。
しかし...実際にＱタロウさんがレコさんの肩に置いたのは、自分自身ではなくクルマダさん...だった。

ク「な、なにし...て...テメエ...。」

Ｑ「行け...！！
お前らだけでも先に行くぜよ！！」

サ「Ｑタロウさん...！？
何言ってるんですか！早く立ってください！」

Ｑ「いいから行け...！！
なんの為に危険を冒したぜよ！！」

Ｑタロウさんに差し出した手は振り払われる。

『で、でも...！！』

Ｑ「A！！
ケイジを救うんやろ！？
これくらいの危険...想像してたじゃねえか！！」

『っ...！』

マ「Ｑタロウさんは私が守る...！
みんな行って...！」

『...お願いします、マイさん！』

Ｑタロウさんが心配。
マイさんの事だって...。

でも、ケイジさんを助けるために危険を冒した。
だから...助けないと...！