死んだら苗字が北になってました。【HQ】

2話 ページ2

車に跳ねられた。


自分の寿命をすぐそこに感じる。

知らない人の心配する声が聞こえる。


いつの間にか私は意識を手放していた。




しかし、辺りの喧騒は消えなかった。

いや、正確には大丈夫だとか、救急車呼んでだとかそういう声は聞こえなくなった。




でも代わりに誰かの声が聞こえる。

さっきとは違う、落ち着いていて優しい声。


｢、、、いい、、すよ。｣


あまり良く聞き取れない。




とにかく疑問が多すぎる。

死んだんじゃないの？
ここはどこ？
さっきから聞こえてくるのは誰の声？


答えの見つからない問いが頭の中をぐるぐる回る。



とりあえず目の前の人に話を聞こうと声を発する。


『おぎゃぁー』




、、、、確かに私は今『あの、』と言ったはず。


私の耳には明らかに赤ちゃんの泣き声に聞こえた。


また疑問が増えた。




うん。考えるのはもう辞めよう。


きっとあれだ。最近流行りの異世界転生的な。

多分これからチート能力手に入れて魔法学校に入ってちやほやされるんだ。




悟りを開きかけていると、

｢可愛ええなあ。これからあんたはAやで。｣


謎の状況に陥って初めて明確に言葉を聞き取れた。


A、、、？



先程のセリフを言う場面があれば子供が生まれた時くらいだろう。

もしやほんとに転生したのでは？

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