貴方達の幸せは俺の幸せ4 (ページ20)

今日:9 hit、昨日:16 hit、合計:166,279 hit

#170 ページ20

side black

無理していないと言ったら嘘になる

でも家族で辛い思いをするのは俺で良かったと思っている

4クール目は吐き気どめを調整してくれて
吐き気が少なく抗がん剤治療を終了することが出来た

しかし4クール終わったところで
毛という毛は全て抜けた

頭も眉毛も睫毛も全て

鏡で見ると全部毛が抜けて風貌がヤクザみたいだった

俺は前の治療の時にもかぶっていた帽子を被った

________

5・6クール目も4クール目と同様の吐き気で終了した

7月の半ば、7クール目が開始になった

外を見ると強い日差しが照りつけている

ロサンゼルスでは暑い日が続いているらしい

俺はもう半年ぐらい病院を出ていないので
暑いとか寒いとかの感覚はない

常に一定の温度

常に一定の湿度

半年治療のために入院していて身についた事と言えば
英語が格段に上手くなったことぐらいだ

兄ちゃんにも
英語がうまくなった
と褒められた

看護師のマイケルがいない日は
英語しか喋れない看護師しか来ないこともあったが
難なく喋ることが出来るようになっていた

今日の担当はマイケルだ

マイケル「北斗、本当に英語上手」

「兄ちゃんにも言われたよ
やっぱり本場にいると違うね」

マイケル「Cameronも北斗の英語聞きやすいって言ってたよ」

「キャメロンさんが？それは嬉しいかも
キャメロンさんちょっと怖いから」

マイケル「AHAHA!そんなことないよ
Cameronは仕事に真剣？なだけ」

「仕事一途っぽいもんな」

マイケル「いちず？」

「うーん、なんて言うんだろう
一生懸命みたいなこと」

マイケル「へ～、おぼえました！」

「マイケルも日本語上手くなったよね
聞いてるよ、時々矢崎先生にも日本語教えてもらってるんでしょ？」

マイケル「矢崎先生、色々教えてくれる
しかもわかりやすい」

マイケルが点滴をつなげ終わると
さらに聞いてきた

マイケル「北斗、ここにくる前仕事してた？」

「・・うん、、してたよ」

マイケル「ごめん、聞いちゃいけなかった？」

「そんなことないよ、ただ・・
ただ、少し酷いやり方で辞めてこっちに来ちゃったから一緒に働いていた人達はなんて思っているかわからないなって」

マイケル「いま、後悔していない？」

「うん、、治療しなかったら俺こんなに生きられないって言われてたから」

マイケル「でも、北斗、いま悲しそうな顔してる」

悲しそうな顔か