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side black
抗がん剤が始まって3日目
強い吐き気止めの点滴をしてもらっているおかげか
吐き気もさほどなく過ごせている
日課である英語の勉強をしていると
知らない電話番号から電話がかかってきた
出るとこーちだった
あれ？俺、番号登録してなかった？
いつも樹の番号しか登録していないんだった
仕事の連絡を主に俺にしてくるのは樹だけだからだ
仕事に来てないことを指摘された
雑誌は2週間分前撮りさせて貰ったし
ダンスレッスンも今日と来週に1回ずつあるがそれも休む
気づくのさすがに早いな
適当に話を終わらせて電話を切った
こーちと樹は鋭いから嘘をつき続けるのはキツイ
早く復帰しないとな
あと抗がん剤は2日ある
採血を1日おきにおこない
白血球や赤血球、血小板の下がり具合を確認する
_________
抗がん剤治療の5日間おわった
吐き気はないが食欲が全くない
兄ちゃんが買ってきてくれるゼリーやプリンを何とか食べている
食べないと元気にならない
そんなことはわかってはいるが
一人で食事してもおいしくない
時々兄ちゃんが一緒に夕飯を食べてくれて
その時だけ少し食べられる
10月、11月はメンバーが事あるごとに
食事に連れ出してくれた
楽しかったな
もう無いかもな
そう思っていると涙が出てきた
もっとアイツらと一緒にいたかった
笑っていたかった
喜びたかった
_________
意外にも順調に今回の治療は終了した
今回は早く増え続ける芽球を抑える対処的なもの
とりあえず予定より2日早く退院できた
もう年末だ
3日後にはカウントダウンコンサートのリハーサルがある
それまでに鈍った体を少し動かそう
そう思い帰宅してすぐに
事務所の地下にあるジムへ向かった
ジムに着くと中には岩本くんがいて
ちょうど出て行くところみたいだ
岩本「あっ、北斗！久しぶり！」
「久しぶり！」
岩本「最近見なかったけど忙しかった？」
「うん、、まあまあかな.....」
岩本「そうか、でも北斗がジムってめずらしいな」
「うん、ちょっと体がなまっている気がして
少し動かそうかなって」
岩本「自分のペースで頑張れよ！」
「うん、ありがと」
そう言って岩本くんはジムから出ていった
いつも賑わっているはずのジム
そんな広いジムに俺一人になった
まるで俺がこの世からとりのこされているみたいだ
あぁ
ウォーキングから始めよう
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作者名：ちきん | 作成日時：2019年8月22日 14時
