【刀剣乱舞】人間不信の少女と付喪神

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『っ…………ここ……暗いし、寒いし……何かやだ……』




肥前「……」


私の独り言を聞いていたのか、肥前が手を握ってくれた。


『!!…………肥前の手、暖かいね』




肥前「……あんたは猫か」




『猫じゃないもん』




肥前「……まぁ何でもいいが……急ぐぞ、時間遡行軍の奴らはお前が逃げたことにまだ気付いてないはずだ。」




『三日月とか、他の刀は？』




肥前「刀剣は皆、こんのすけから事情を聞いてる。俺があんたのそばにいることも、こうして今あんたを逃がそうとしていることも恐らく分かっているだろう」




『そう…………ねぇ、本当に大丈夫なの……？』




肥前「……何だ、自分の刀が信じらんねぇのか？」




『そうじゃないけど……でも、心配になるっていうか……』




肥前「……あんたは、いつもそうだな」




『え？』




肥前「人が怖いと言いつつ、誰かのために動いてる。自分を守るだけじゃなく他人を守ることも、あんたにとっては大事なんじゃないのか？」




『……確かに、そうかもね……未だに、人が怖いよ。でも、心優しい人だっている。それは皆が教えてくれた』




肥前「……あるのか、戦う覚悟が」




『……時間遡行軍がどのくらいの強さなのか分からないけど……私は、逃げたくない。大切な皆と一緒に、戦いたい』




肥前「……そうかよ。」




『肥前って実はツンデレだったりする？』




肥前「何だよ急に」




『いや、さっきだって顔赤くしながら手を握ってくれたりしたし、意外と優しいのかなって』




肥前「ﾁｯ……うるせぇな、早く戻るぞ」




『あ、照れてる』




肥前「だからうるせぇよ、ったく……」




『わっ……』




肥前「……行くぞ、主。」




『！…………うん！』




肥前の手をしっかり握り返し、本丸へと向けて踵を返した。

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