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甘くなくちゃつまらない/仁.王 ページ38

「ねえ仁王君」
「なんじゃ」
「なんで付き合って一年も経つのにキスもしてくれないの?」
「……プリッ」
「あ、誤魔化した!」



こんな会話も何度目だろうか。確かに最初に聞いた時は躊躇ったし緊張もしたけれど、すっかり慣れてしまった。折れない私と、はぐらかす彼。その勝負はいつまで経っても平行線のまま。




流石に高校三年生。彼氏とキスもしたいし、あわよくばそれ以上も──とまでは言わない。ただ、手を繋げるようになるまで半年近くかかった彼だ。キスだなんて、一体何十年先になるのやら。

青春は短い、が持論である私はせっかちだ。彼は余裕があるのか、将又奥手すぎるだけなのか。




「ほんっと、仁王君って変にヘタレだよね!意気地無し!」
「男にも心の準備ってモンがあるぜよ」
「遅いって!たかがキスくらいで!」

感情をひた隠すようにして笑っていた彼の顔が、ふっと変化した。瞳の奥から捕えられているような感覚。彼の真面目な顔に私は滅法弱かった。







「おまんは焦りすぎじゃ」
「……だって、」
「…………頼むから、大切にさせてくれんか?」
「っ、……にお、」







片手を絡めて、もう一つの手が後頭部に伸ばされる。押し付けられた唇は、熱かった。ぼんやりとしてきた頭で、今日は誰も家にいなくて良かった、と考えていた。









「……ちょっと、」
「なんじゃ?…………たかがキスくらい、じゃろ?」
「ば……馬鹿!」


反抗しようと握られた拳を突き出そうとすると、そのまま抱き寄せられてしまう。ぽす、と簡単に包まれる私の体。

弱々しい声に、思わず拳の力が緩まっていく。









「……すまん」
「え?」
「なんていうかの…………俺も、これが限界じゃ」



弱々しく呟いて私の肩に顔を埋める。そんな声に、先程までの強気な姿勢は感じられず、思わず笑い声が漏れた。





「いいよ、もう……」
「……プピーナ」


---
リクエストで「初で奥手な仁王」でした。リクエストありがとうございました!初でも奥手でもない気がしますが…笑
仁王の「Fake」聞きながら書いたらこうなりました!!

追記
描写的に少々怪しい点がありましたので、修正を入れました。

西日は照らす/切.原→←ミッドナイト・ラプソディ/丸.井



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紫梦(プロフ) - メロンさん» 作業用に仁王君の曲探してたら見つけました。とても良い曲でした!笑 ほんとにリクエストに沿えてるか不安でしたが、そう言って頂けて嬉しいです。リクエストありがとうございました!よろしければまたリクエストお願いします。 (2018年8月31日 22時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
メロン - Fake聞きながら、描いたんですね笑。可愛かったです!リクエストありがとうございました!また、機会があればよろしく御願いします! (2018年8月31日 22時) (レス) id: fd95f0d8fd (このIDを非表示/違反報告)
紫梦(プロフ) - メロンさん» 了解です!できるだけご期待に添えられるように頑張ります。少々お時間頂くかもしれません…! (2018年8月26日 8時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
メロン - 紫梦さん» では、お言葉に甘えて…。初で奥手な仁王くんがみてみたいです~(^w^) (2018年8月26日 2時) (レス) id: fd95f0d8fd (このIDを非表示/違反報告)
紫梦(プロフ) - メロンさん» 世界観だなんてそんな…!私には勿体ないくらいの褒め言葉です…ありがとうございます!仁王くんですね、了解致しました!なにか設定やシチュなどのリクエストあればお願いします〜前の仁王君と被るといけないので! (2018年8月25日 21時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫梦 | 作成日時:2018年7月31日 21時

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