【庭/球】色恋【短編集】

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《柳蓮二の場合》

「………チョコか。いや、お前がくれるのなら貰おう」
「サマーバレンタイン……か。ああ、知っている。本来はメーカーの販促イベントのはずだが……」
「まあ会社の思うツボだとしても、お前から貰えるのなら悪くない。……本命なんだろう？」
「はは、わかり易い奴だな。…………ありがとう。お返しは期待していてくれ」

頭を撫でられる。その温もりが夏でも心地良い。


《日吉若の場合》

「……チョコ？甘いものは好きじゃない」
「！……馬鹿、泣くなよ」
「…………サマーバレンタイン？」
「……やっぱり貰う。だから泣くな」
「気が変わった。ほら、よこせよ」
「フン…………勘違いするな」
「あー……だから、ニヤニヤするな！」

私の涙を掬う指先。ぼやけた視界の先に見える、優しい顔の彼。


《幸村精市の場合》

「……ありがとう。有り難くもらうよ」
「え？うん、知ってるよ。サマーバレンタイン、だよね」
「フフ、そんなに照れなくてもいいよ」
「ねえ、今ここで食べてもいいかい？」
「ありがとう。…………うん、分かっていたことだけど美味しいよ」
「……来年もくれると嬉しいな」

喜んでいただけて光栄です。来年ももちろん作ります。


《財前光の場合》

「チョコ？甘ったるいんでいいっすわ」
「……え、ちょお待ってください。その手に持ってんのは、」
「あー…………手作りやないすか」
「……サマーバレンタイン？…………なんや、断った俺アホみたいやん……」
「先輩、それ貰います。せやから寄越してください」
「…………俺が悪かったから、そんなに泣きそうな顔せんといて」

ぎこちなく引き寄せられた身体。伝わる彼の早い鼓動。


《忍足謙也の場合》

「お、おお！それチョコやんな！？俺にくれんのか！？」
「え、ほ、ホンマか！？白石やなくて！？」
「……ヤバいでこれ、めっちゃ嬉しい」
「や、やっぱ落ち着けへん！叫んでもええか！？」
「…………せ、せやな、まず深呼吸や」

落ち着いてください。チョコは逃げませんから。








Happy Summer Valentine Day!!
2018/8/14

揺れるセンチメタル/不.二.裕.太→←君とサマーバレンタイン

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