5人の怪盗と生きる宝石 第3幕

mission94 ページ15

朱桜司side





瀬名｢あぁ、もうっ！｣


ダンっ！


鳴上｢泉ちゃん、いい歳して地団駄踏まないでちょうだい。｣


瀬名｢意味わかんないんだけどぉ！？なんで何日もこんな獣道を歩かないといけないわけぇ！？俺人間なんだけど!?｣


瀬名先輩は先頭を歩く衣更さんを勢いよく指さした。


衣更｢そんなん言われても...俺、この道しか知らないんですよ。｣


瀬名｢道!?これ道なの!?てかどこ向かってるのかぐらい教えてくれてもいいんじゃないのぉ！？｣



そう、何故我らはこうして獣道を歩いているのか。



その理由は何日か前に遡る____







瀬名｢くまくんが...五奇人の弟...!?｣


鳴上｢朔間零って、あの...!?｣


朱桜｢というか...本当にいたんですね、五奇人。てっきり、誰かが誇張していただけかと...｣



あの日、あのボロ屋...もとい、換金屋で衝撃の事実を伝えられた。


凛月先輩の本名は朔間凛月だと。


そして...五奇人朔間零の実の弟だと。



衣更｢凛月は昔から体が弱いのと...まぁ、色々あって朔間家の地下にずっと閉じ込められてたんだ。それを数年前脱走した。｣


瀬名｢...っなるほどねぇ。そういうことか。｣


何故か納得したような態度をとる瀬名先輩を横目に私は衣更さんに質問をなげかける。



朱桜｢では、凛月先輩は幼い頃に家にされたことの報復で朔間家を滅ぼそうとしている、という事ですか？｣


衣更｢いや、違う。報復は朔間家を滅ぼす理由の2割程度だ。根本の理由は違う。｣


では、どういうことだろうか。
そう問いかける前に衣更さんは口を開いた。


衣更｢あいつがあそこまでするのは...あいつの兄貴の為だ。｣


瀬名｢兄貴って...朔間零の為ってこと？｣


衣更｢そうだ。あいつは"家に囚われている朔間零"を解放しようとしている。それがあいつの根本的な願いであり目的だ。｣


ちんぷんかんぷんな私たちを横目に衣更さんは何かの準備を始めた。


鳴上｢真緒ちゃん、一体何して...｣


衣更｢お前らに、着いてきてもらいたいところがある。一緒に来てくれないか？｣







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