第14話 過去編1 ページ14
僕はある小さな村の近くに建てられている神社に住んでいた。
信仰されていたのは僕じゃなく、土地神様だ。
しかし土地神様はある時消えてしまい、僕は神社の事を託された。
あの村の人間は神に対する信仰が深かったのか、僕は神社から出ることが出来なくなってしまった。
長い間1人で暇を持て余していると、青年が声をかけてきた。
「なぁ、ひとりじゃ寂しくないか？」
青年は更科浅葱と名乗った。
更科といえば妖の間で有名である。
更科家は妖力が弱い家系であったが、誰よりも妖の存在を信じ、そして妖を恐れていた。浅葱はそんな家に生まれながらも強い妖力を持っていた。
きっと更科家の救世主なのだろう、と僕は思っていた。
「別に寂しくはない」
そう言って突き放すと、浅葱はまあまあ、と僕の隣に座り、村での出来事を話し始めた。
❀✿
「Aー！」
また来た、と思わず溜息が出る。
出会ってから暫くしたが、浅葱は諦める様子はない。
…僕といたって、楽しくないだろうに。
今度こそ追い返してしまおうと口を開いたが、声を発する前に、僕の視界から浅葱が消えた。
「…え！？」
思わず固まり、浅葱がいたであろう場所に駆け寄ると、そこには穴があった。
「……お、としあな…？」
まさかと思い覗き込むと、案の定穴の中に浅葱が落ちていた。
「…君、何してるんだ」
「いってて…いやあ、まさか自分で掘った落とし穴に嵌るとは…」
「自分で掘った…？」
「ああ、Aを楽しませてやろうと思ってな！」
でも失敗だ、自分で落ちたと浅葱は口を尖らせていた。
いつ掘ったのだろうか。全然気付かなかった。
言いたいことは色々あったが、それよりもこの状況がおかしくて仕方がなかった。
数秒固まった後、僕は思わず笑ってしまった。
「ふは、はははっ…君は馬鹿だなあ」
そういえば笑うのは久しぶりだ。
長い間同じことの繰り返しであったから、忘れていたのかもしれない。
いきなり笑い出した僕を見て、浅葱は目を丸くしていた。
そしてすぐに微笑んで、
「やっと笑ったな」
浅葱は嬉しそうな顔をしていた。
笑ったら、何だか悪いものが取れたような気がしてくる。
浅葱との距離が縮まり始めたのはそれからだった。
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ここ - なんで面白いとこで止めるんですかあああああ続きをください！！！！更新待ってます！！ (2018年10月6日 23時) (
レス) id: 13a4e8f4bd (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 鈴木さん» いえ､私が単にあまり読んでないんで知らないだけかと…｡これからも更新頑張ってください！！ (2017年2月20日 14時) (レス) id: bb18c895b3 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木(プロフ) - 時雨さん» ありがとうございます！妖怪主多いと思ってたんですが少ないんですね… (2017年2月9日 9時) (レス) id: 6735b4f99f (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 妖怪主は初めて見ました！凄く面白いです！続き楽しみに待ってます(`･ ω･´)ゞﾋﾞｼｯ!! (2017年2月9日 8時) (レス) id: bb18c895b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鈴木 | 作成日時：2017年1月2日 13時
