SixTONESのもうひとつの物語 (ページ29)

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ジェシーside ページ29

俺が入所した時にはもう2人はいた。

年下なのに、色んな人に可愛がられていた。
特にAは笑った顔がcuteだった。
もっと笑えばいいのに。
Aは仕事をしててもどこか楽しくなさそうで、色々なものを抱えているみたいだった。

他のJrの中には文句を言ってる奴もいた。
なんで文句を言うんだろう。
非の打ち所なんてないのに。
実力があるやつが上に行く。この世界では当たり前のことだ。
特に接点はなく高校生になった時Aと共演することが決まった。

Aの演技は評判良かったし、一緒に仕事ができるのが少し楽しみだった。でも楽しくなさそうにやってたらどうしようとも思っていた。
楽しくなさそうにやられるのは嫌だ。
ものすごく天狗かもしれないなと不安に思っていた。

最初こそ人見知りを発揮していたAだったが話してみるとやっぱりcuteだった。

Aの笑った顔が好きで時々ボケてみる。

｢ジェシーはやっぱり話しやすい｣
そう言ってくれたことまだ覚えてる。

俺だって同じ気持ちだった。
ほかのJrへの対応より、俺たちの方が明らかにAと仲良くなれてる。そんな優越感があった。

Aの演技は本当にすごかった。でも俺が惹かれたのはステージに立つAの姿。歌声、表現力、全てにおいて年下なのに凄かった。
一緒に仕事がしたい。ただ漠然とこのまま7人で仕事がしたいと思っていた。

でもAには怜がいる。それも変わらない事実だった。バカレア組としての仕事がだんだん落ち着いてきた時、その知らせは突然入った。

｢怜が死んだらしい｣

耳を疑った。Aは今どうしてるのだろう。

次に見たAは弱々しくて、その小さい背中には色々なものを背負っていた。

その日の少クラで歌った絆は俺の心にとてつもなく残った。

歌い終わったAな今にも泣きそうで、でも俺には何も出来なかった。

しばらくAの仕事はなかった。
怜の死を、まだ引きずっていたのだろう。
また謡える日が来るといいな。そう思っているとその日は来た。

久しぶりにステージに立ったAはまるで別人だった。歌には感情がこもっていないし、俺の好きなステージに立つAじゃなかった。ショックだった。もっとAはすごいのに！でも俺には何も出来なかった。

Aはドラマや舞台の露出が増えた。俺は早くステージに立つAが見たかった。