SixTONESのもうひとつの物語 (ページ27)

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京本side ページ27

初めてA似合ったのは入所してすぐだった。

あの子たちが話題の子か…1番近い同期だよなあ

そんなふうに2人を眺めていた。

2人は俺よりバックにつくことが少なかったのに、
先輩や、ジャニーさんにもかわいがられていて、
Aはドラマにも出ていた。

俺はそんなふたりが羨ましかった。

女だからだって自分に言い聞かせて2人のことを嫌っていた。

ある日、レッスンが終わって帰ろうとすると練習場から歌声が聞こえてきた。

すごく綺麗で、伸びやかだった。
理想の声だった。
高いだけじゃなくて、低い音もあって、
きっと音域的にはきつい先輩の曲なのに歌いきる2人。特にAの歌声は俺の好みにドンピシャだった。

ダンスもアクロバットも、歌も2人でとことん練習していた。

女だからじゃない、努力してるんだ。
負けてられない、俺も年下に負けてられない。

俺はそれから勝手に2人を意識して歌やダンスを家でも猛特訓した。

ある日、廊下で他のJrが2人の悪口を言っているのを聞いた。
なんの努力をしてない奴が2人をバカにしているのに我慢できなくて、

｢お前らもなんかやればいいじゃん｣
柄にもなくそんなことを言ったのを覚えている。

Aと一緒に歌いたいその思いはその時からずっとあったけれどAには怜がいて、
なんだか遠かった。それにAはどこか、仕事に対して楽しさがないような気がした。色々なものを背負っているような、そんな気がした。

高校生になって、ついにAと共演する日がきた。
さらに台本を見ると1番絡む役ときた。男役でさらにセリフほとんどなくて表情で魅せるなんてAにしかできないと思った。やっぱすごいやつだな～
と思っていると

｢京本くん、よろしくお願いします。｣

あの声が聞こえた。
振り返ってみるとAだった。
昔は俺より背が高かったのに今では俺の方が高くて
とても綺麗になっていた。

｢あ、よろしく｣

つい緊張して素っ気なくなってしまった。

それからは慎太郎がいるとこでは話せるようになって、仲良くなっている気がした。
それでもなにか抱えてるような彼女の儚い感じや壁はまだあって、俺には計り知れないほど色々な経験をしてるんだろうなと思った。

俺も二世ということがつきまとっていたから。
Aとちゃんと話ができる時が来るといいな。