SixTONESのもうひとつの物語 (ページ25)

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過去のお話⑥ ページ25

怜が亡くなって、私は歌を歌わせてもらうことがほとんど無くなった。

バカレア組もバラバラになり、思春期、反抗期が重なって6人ともほとんど会話を交わすことが無くなった。

バカレアのことは忘れよう。
そう思い、少なくなったお仕事を待つ。

歌いたい。踊りたい。
その思いは募るのに、吐き出せる場所もなくただた時が過ぎた。

ファンのために続けることを決めたのにこれじゃ何も出来てない、、焦るばかりだった。

ある日、ジャニーさんに呼ばれた。
嫌な予感がした。

辞めろとか言われるのかな…

花｢失礼します。｣

ジ｢You、久しぶりだね。今日はひとつお知らせがあって、Youにドラマのお話だよ。やるよね？｣

正直、ドラマのお話は嬉しかった。

花｢…やりたいです。｣

ジ｢そうか、ならよかった。怜のことからまだ立ち直れてないかと思って。｣

ジャニーさんは心配してくれていた。

花｢私、歌いたいです、｣

ジ｢それはダメだよ｣

花｢なんでですか！｣

ジ｢1度やって見たらわかる、来週少クラに出てみなさい。｣

そのままジャニーさんとは別れた。
ジャニーさんの言っている意味が分からなかった。

｢とにかく、来週頑張ろう｣

久しぶりに、少クラの現場に来た。
懐かしい顔があって少しほっとする。
慎太郎と目が合うと心配そうに笑ってくれた。

ほくじぇはJrのトップとして輝いていた。
他の4人はなんだか色々なものを抱えているみたいだった。

自分の番になってステージに立つ。
他にも何人かJrが踊るらしかった。
私は1人で歌う。

すぐに違和感に気づいた。
笑えない…
笑い方を忘れてしまったように、何も表現出来なかった。
妙に明るい歌詞にも心を込められなくて、納得いかないまま曲が終わってしまった。

お客さんは久しぶりの私の登場に驚いて歓声を上げていたけれど、歌い終わったあとの拍手はこころなしか、残念さを抱いているようだった。

楽屋に戻って我に返ると、手が震えていた。
ステージが怖くなっていた。
ファンに向けて笑顔が向けられなかった。
少し、歌から離れていたのが原因では無い、そんなこと分かっていた。
だって、歌は普通に歌えたから。

自分から感情がなくなってしまったかのようになり、ただ呆然とした。

ジャニーさんが言っていたのはこういうことだったんだ。

今の私にはファンの方を笑顔にする力も、自分が笑顔になることも出来ない。

ステージに立つ資格がない…