SixTONESのもうひとつの物語 (ページ20)

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過去のお話⑤ ページ20

Jr.である私に怜の死について公言する場はなかった。

私もなにか言える気がしなかった。

私だって受け入れられてないから。

そして私はジャニーさんにわがままを言うことにした。

｢次の2人で出るはずだった少クラで絆を歌わせてください。｣

ジ｢ステージで泣くのは無しだよ｣

花｢泣きません。｣

ジ｢分かった｣

こうして私はジャニーさんにあの時以来の2度目のわがままをいった。

少クラの撮影に入ると空気が違った。
最初こそ女だと批判されていたけれど、
ジャニーさんや、先輩方のおかげ、バカレアがあったこともあってJr.も前よりは居心地が良くなっていた

怜も私がいない間に仲良くなっていたJr.もいたみたいだった
ジャニーズはファミリー、
Jrのひとりが亡くなったというのは大きい事だった。

｢A｣

話しかけてきたのは京本くんだった

｢辛かったら言えよ｣

｢ありがとう｣

京本くんは優しい言葉をかけてくれたけど、

私は弱さを見せるなんてことは出来なくて

直ぐにその場を離れた

そして本番直前、私はマイクを2本持つ。
ひとつは自分、ひとつは怜

｢曲が終わったら暗転してください。｣
そうスタッフさんに伝えて舞台に向かう。

曲紹介があり、出ると思ってなかったファンの方の歓声があがる。

ちゃんとお別れしよう。
そう自分にいいきかせてステージに上がる。

右に持っていたマイクをいつも怜がたっていた場所におく。怜が右で私が左それがいつもの立ち位置だったから。

客席を見ると泣いている人もいた。

そして歌う。
絆。
ハモリはないけれど、怜を感じて歌う。

お客さんは、ファンじゃない人も泣いていた

歌い終わって頭を下げる。
そして暗転

私から何かを発することはこれから先もない。

そう伝えるように床に置いたマイクを取り舞台袖に戻る。

裏に行くと何人かのJr.がいたのが目に入ったけど

声をかけられたくなくてすぐにトイレに向かう。

一息つく、

我慢していたものが頬をつたるのが分かった

その時、やっと怜とお別れができたんだ。